オイスカ「子供の森」計画カレンダー2017をよろしくね!
2016年12月27日

オイスカ「子供の森」計画カレンダーで、クロッチが「子どもたちの森づくり活動にご協力お願いします」とPRに登場しています。

オイスカ「子供の森」計画
公式webサイト http://www.oisca.org/project/cfp/

 

2016年あれやこれや
2016年12月27日

 

 

1月
未来遺産「雑司が谷」マップ完成。正月の七福神巡りに!


2月
・クロッチ、インドへ行く(ACE「ピース・インドプロジェクト」で職業訓練をしている女の子たちがクロッチの服を作ってくれるので)。
クロッチ、ミャンマーへ行く(オイスカ「子供の森」計画のスタッフ増留さんに同行)。


3月
クロッチのクリアファイル2種「地域猫」「同行非難」が豊島区池袋保健所イベントで、配布される。
オイスカ「子供の森」計画の支援を呼びかけるパンフレットにクロッチ登場。


4月
クロッチ、フィジー共和国へ行く(オイスカ「子供の森」計画のスタッフ増留さんに同行)。


5月
新宿防災フェスタ(新宿区立大久保公園)、「のら猫クロッチと写真を撮ろう」コーナーで、着ぐるみクロッチ参加。


6月
日本橋三越店「PJC×のら猫クロッチ展」開催。
オイスカ「子供の森」計画のニュースレターにクロッチ登場。


8月
クロッチのポストカード4種(ミャンマー、フィリピン、フィジー、苗を植える)がオイスカ「子供の森」計画とのコラボで完成。オイスカより発売中。
インドの女の子たちがクロッチのための衣装50着が完成(ACE「ピース・インドプロジェクト」。


9月
子供たちの交流イベント「動物に変身!アートで国際交流 in 練馬美術館」において、練馬区立美術の森緑地で、着ぐるみクロッチと参加者子供たちが記念撮影。


10月
第8回新宿区落合第一地区協フェスタに参加。クロッチ着ぐるみ登場。
国際協力イベント、グローバルフェスタJAPAN2016で、着ぐるみクロッチがオイスカブースに応援参加(開催10月1日、2日、場所:お台場センタープロムナード)。


11月
「クロッチ物語」が初上演される(千賀ゆう子企画公演「隣りの猫?」 ストライプハウスギャラリー)。
「ラッキーワイド×のら猫クロッチ展」開催(六本木ストライプスペース)。
ラジオドラマ風CD「クロッチ物語」(作:かりにゃん 朗読:鈴木万由香)を発行。
・ラインスタンプ発売開始(イラスト:田畑伴和)。
共立女子大「ロハスカフェ共立女子」の黒板絵にクロッチ登場。


12月
オイスカ「子供の森」計画カレンダーで、クロッチが「子どもたちの森づくり活動にご協力お願いします」とPRに登場。

初上演!のら猫クロッチ物語
2016年12月26日

女優で演出家の千賀ゆう子さんの企画公演「Sシリーズvol.68」、「隣りの猫?」で、クロッチ物語を上演していただきました。

千賀ゆう子さんは、平家物語、ギリシャ悲劇などの古典から、坂口安吾、前衛作品まで、ご自身で企画、構成、演出、出演し、国内はもちろん、海外でも活躍されています。
今回、国内外の「猫」にまつわる現代詩、小説などを、千賀ゆう子さんと舞台などで活躍中の俳優さんがたが語り、演じました。竹田賢一さんのエレクトリック大正琴が加わって出現した異空間。芝居がはじまるいなや、温かい気持ちがこみ上げてきて、わたしは心が震えるような体験をしました。
(開催:11月4日5日6日 会場:ストライプハウスギャラリー)
千賀ゆう子さんによる「クロッチ物語」上演は、来年も行なわれる予定です。
みなさん、ぜひ一度、ご覧になってください。
詳細が決まりましたら、みなさんにもお知らせいたします。

ストライプハウスギャラリー公式Webサイト
http://striped-house.com/Senga.html#Anchor-37516

千賀ゆう子企画公式Webサイト
http://senga-unit.sakura.ne.jp

 

 

 

 

 

 


目ヂカラ抜群! 千賀ゆう子クロッチだいっ!

縁起(えんおこし)★ ラッキーワイド x のら猫クロッチ展(後半)
2016年11月29日

「ラッキーワイド×のら猫クロッチ展」

2016年11月7日 – 13日
場所:六本木ストライプスペース

【主催】
株式会社ラッキーワイド
株式会社ヌールエデザイン総合研究所
ハタナカマネジメントオフィス
== 地下 ==

 


 

【お祭り野郎!】

 

作品24 ねぷたクロッチ(助六) 作:諸橋司

 

 

作品25 クロッチ面 作:山田親広

 

 

作品26 サイボーグ0096 作:國塚慶太

 


 

【よのため ひとのため のらのため】

作品27 児童労働のない未来へインドの子どもたちによる

「わたしだけのクロッチ展」 企画:Krocchi x ACE

 

 

 


 

【同行二人】

作品28 PJCクロッチエンブレース 作:大西和子

 

 

作品29a Krocchi x OISCA「子供の森」計画(ミャンマーへゆく)

 

 

作品29b Krocchi x OISCA「子供の森」計画(フィジーへゆく)

 


 

【メイキング】

作品30 真打登場 作:岡谷侑紀 柿沼良

 

 

 

作品31 ラッキーワイドの立体造形 メイキング映像(30分)
監督:鎌仲ひとみ 撮影:ぶんぶんフィルムズ
出演:山田親広(美術監督)、清水守正、岡谷侑紀、村井理恵子、吉澤寿広(ラッキーワイド代表)

 


 

【ラッキーワイドのクリエイターによる作品】

作品32 恐竜 作:清水守正

 

 

作品33 マシーネンクリーガー〔1:1 スノウマン〕

原作:横山宏 制作:山田親広

 


 

【野良猫と野良人】

作品34 宇宙 作:長嶺ヤス子

 


 

【のら猫クロッチ 縁起】

作品35 ソーシャルアクション 作:イアン

 

 

着ぐるみクロッチ 参上

オイスカのみなさま、着ぐるみクロッチ、お疲れさま!ラッキーワイド x のら猫クロッチ展の関係者のみなさま、六本木ストライプスペースのみなさま、お世話になりました!

(おわり)

縁起(えんおこし)★ ラッキーワイド x のら猫クロッチ展(前半)
2016年11月29日

「ラッキーワイド×のら猫クロッチ展」

2016年11月7日 – 13日
場所:六本木ストライプスペース

【主催】
株式会社ラッキーワイド
株式会社ヌールエデザイン総合研究所
ハタナカマネジメントオフィス

 

 

 

作品1 Touch me!(さわって) 作:佐藤愛子

 

== 1F ==

 


 

【クロッチ誕生】
作品2 クロッチの肖像 作:かりにゃん

 

 

作品3 お友だち

 

 

作品4 逢魔が刻に 作:村井理恵子

 


 

【縁起(えんおこし)】

作品5 禅 作:山田親広

 

 

作品6 野良でよかった 作:山田親広

 

 

作品7 先駆け、縁起 作:山田親広

 

 

作品8 はばかりながら… 作:山田親広

 

 

作品9 哀歌 作:山田親広

 


 

【歌舞くぜ!】

作品10 〆キャラ 作:木下勇治

 

 

作品11a 夜回りクロッチ 作:木村郁也

 

 

作品11b ロゴタイプ 作:木村郁也

 


 

【ドミネコ通りにて】

作品12 腹時計 作:岩永愛

 

 

作品13 対決カラスのゴンゾ 作:清水守正

 

 

作品14a 涙目ジョヴァンニ 作:かりにゃん

 

 

作品14b 涙目ジョヴァンニ 作:清水守正

 


 

【野良猫】

作品15 のら猫クロッチ

 

 

 


【野に良く生きる猫】

作品16 人招きクロッチ 作:山本知弘

 

 

作品17 福招きクロッチ 作:山本知弘

 

 

作品19 猫じゃらしクロッチ 作:新井智之

 

 

作品20 お絵描きクロッチ 作:新井智之

 

 

作品21 花占いクロッチ 作:新井智之

 


 

【のら猫クロッチ物語】

作品22 クロッチ川柳 作:かりにゃん

 

 

作品23 ラジオドラマ風「のら猫クロッチ物語」 作:かりにゃん 朗読:鈴木万由香

 

(後半につづく)

山田さん制作の「1 : 1 スノウマン」が雑誌に掲載された!
2016年11月28日

 


 

 

 

縁起(えんおこし)★ ロハスカフェ共立女子の黒板絵
2016年11月27日

神田一ツ橋にある共立女子大の新2号館に「ロハスカフェ共立女子」(運営:木楽舎)が誕生しました。
のら猫クロッチと仲間たち、花咲く草っぱらの黒板絵、どうぞご覧ください。

 

共立女子大学新2号館

 


 

【制作前】

新2号館に誕生した「ロハスカフェ共立女子」

 

 

キッチン上の「横長黒板」と入口付近の「大黒板」に描きます

 


 

【制作途中】

中央のロハスカフェロゴから身を乗り出す「のら猫クロッチ」

 

 

のら猫クロッチのポーズをレイアウト

 

 

のら猫クロッチのポーズをレイアウト

 


 

【完成した】

都会の草っ原から、のら猫クロッチがやってきたぞ!

 

 

ライバル、からすのゴンゾがやってきた「やっかいだな」とドクダミの中で死んだふり

 

 

ロハスカフェ共立女子のみなさん、こんにちは。
今日はごちそうになりにきました!

 

 

まんぷくまんぷく。
野良でよかった、なにしようかな

 

 

「好き」「大好き」「好き」がオイラの花占い

 

 

(ゴミは分別してね)

のら猫クロッチの肖像
2016年11月27日

ご来場ありがとうございました!
2016年11月27日

「ラッキーワイド×のら猫クロッチ展」

(11月7日 – 13日 場所:六本木ストライプスペース)

【主催】
株式会社ラッキーワイド
株式会社ヌールエデザイン総合研究所
ハタナカマネジメントオフィス

 

 

2フロアで、12テーマ、全33作品を展示しました。

1Fでは、現代アート作品(新作)を中心に。

地下1階では「のら猫クロッチの多様性」
を表現していました。

== 1F:現代アート フロア ==

【クロッチ誕生】
1 肉球 さわって    作:佐藤愛子
2 クロッチの肖像    作:かりにゃん
3 逢魔が刻に      作:村井理恵子

【縁起(えんおこし)】
4 はばかりながら…    作:山田親広
5 先駆け、縁起      作:山田親広
6 哀歌          作:山田親広
7 禅           作:山田親広
8 野良でよかった     作:山田親広

 

 

【歌舞くぜ!】
9 〆キャラ     作:木下勇治
10 夜回り       作:木村郁也

 

 

 

【ドミネコ通りにて】
11 腹時計         作:岩永愛
12 対決 カラスのゴンゾ  作:清水守正
13 涙目ジョバンニ     作:清水守正

 

 

【野に良く生きる猫】
14 人招き       作:山本知弘
15 福招き       作:山本知弘
16 猫じゃらしクロッチ 作:新井智之
17 花占いクロッチ   作:新井智之
18 お絵描きクロッチ  作:新井智之

【クロッチ物語】
19 ラジオドラマ風「クロッチ物語」
作:かりにゃん  朗読:鈴木万由香
20 クロッチ川柳   作:かりにゃん

 

 


 

== 地下:クロッチの多様性 ==

【お祭り野郎!】
21 ねぷたクロッチ(助六)   作:諸橋司
22 クロッチ面        作:山田親広
23 サイボーグ0096      作:国塚慶太

 

 

【よのため ひとのため のらのため】
23 児童労働のない未来へ
インドの子どもたちによる「わたしだけのクロッチ展」
企画:Krocchi x ACE

 

 

【同行二人(どうぎょうににん)】
24 PJC クロッチエンブレース  作:大西和子
25 のら猫クロッチと目が合って  作:筒井公子
26 Krocchi x OISCA「子供の森」計画

【ラッキーワイドのクリエイターによる作品】
27 マシーネンクリーガー〔スノーマン〕
原作:横山宏  制作:山田親広

28 恐竜   作:清水守正

【メイキング】
29 真打登場      作:岡谷侑紀、柿沼良
30 立体造形メイキング映像  監督:鎌仲ひとみ
撮影:ぶんぶんフィルムズ

【クロッチアクション】
31 縁起(えんおこし)  作:イアン

【野良猫と野良人 長嶺ヤス子と子どもたち】
33 宇宙   作:長嶺ヤス子

以上、全33作品。

 

「ラッキーワイド×のら猫クロッチ展」が始まります!
2016年11月4日

来週月曜日(11月4日)から「ラッキーワイド×のら猫クロッチ展」が始まります。
みなさん、ぜひいらしてください。
よろしくお願いします!

 

 

【会場】六本木ストライプスペース Mフロア、Bフロア

【日程】11月7日(月)- 13日(日)
※11月8日(火)17時以降は関係者が不在となりますのでご注意ください。

【時間】10時〜20時
【休】会期中無休
【料金】無料
【問い合わせ】03-3403-6604
【交通】地下鉄大江戸線・日比谷線六本木駅3番出口。徒歩4分。芋洗坂下る
【URL】http://striped-house.com/

【展示内容】
1. のら猫クロッチの世界観

2.「のら猫クロッチと同行二人」活動展示
・特定非営利活動法人ACE 世界の子どもを児童労働から守るNGO
→インドの子供たちが縫ったクロッチの洋服50点
・公益財団法人オイスカ「子供の森」計画
→写真とコラボ絵はがき
・PJC KAZUKO ONISHI
→エンブロイダリーレースのクロッチ刺繍を用いた作品

3.のら猫クロッチの立体作品と平面作品
・クロッチの立体造形作品
・クロッチのフィギュア
・その他

4.山田親広、清水守正によるオリジナル作品

【お問い合わせ先】
クロッチ倶楽部(株式会社ヌールエ内)
e mail: krocchi3@me.com

【のら猫クロッチWebサイト】
http://krocchi.com/

 

 

 

 


東京新聞で紹介されました。

ラッキーワイドの造形作家たち12 ★ 山田親広さん
2016年10月28日

【クロッチ作品を創るラッキーワイドの造形作家たち。12】

山田親広(やまだちかひろ)さん

この1年、美術監督の山田親広さんは、11人の造形作家たちと共に展覧会に向けての話し合いを重ね、ディレクションを行いつつ、自らは複数のクロッチの立体作品を完成させた。

さまざまな新素材に挑戦し、試行錯誤を重ねて完成させた立体像の数々。山田さんには、造形作家として自らの作品について、美術監督としては展覧会全体の見どころを語ってもらった。

 

 

「物づくりとは、人を喜ばせるための演出のひとつで、
人を喜ばせることを主体に考えると、創造力は湧いてきます」 と山田さん。

本当は、作品に手で触れてほしい

「触れられなければ立体である意味がない。僕の考えです」。きっぱりと言いきる山田さん。「指先で触れてみることで作品を身近なものにしてほしい」という。 山田さんは、クリヤレジン、金箔、黒御影石、銅で、5点の立体像を制作した。見どころは「さまざまな素材を使用したこと」と「特別な視点で選んだ素材が醸し出す、おもしろさと不思議さ」だと語る。
「走るクロッチ」像は、5点の立体像の中で唯一動きがある作品だ。「勢いと派手さ」がほしかったので「金箔」を選んだ。通常、金箔で貼ったものは素手では絶対に触ることができない。酸化してしまうからだ。ところが、この作品では、幾度も試験を重ね「手で触れることができるクリヤコーティング」に成功した。

困難きわまりなかった

一番苦労したのは、水のように透きとおった作品。素材にはクリヤレジンを使用したが、完全に透明にするために、空気の泡を抜かなければならず、しかも、シリコンの型作りの際には硬化速度のコントロールが難しかった。透明の「もの」を抜くためには、シリコン型もまた透明にしなければならない。最初、泡が抜けている状態を確認できないまま型抜きをしていたため、2回失敗し、3度目でなんとか完成にこぎつけた。

 

 

「時間との戦い」をくぐりぬけて
「銅」の重厚感がイメージ的にヒットしたのは「力んでいるオイラ」だ。抗酸化処理が施された、ドイツ製の新素材の銅粉と樹脂を使用した。「銅の作品」に取り組んだ夏場は硬化速度が早くなり、すぐに固まってしまうので、作業ができる時間はとても短い。塗る時間がないのだ。硬化速度を下げるために硬化剤の量を減らすと、今度は完全に硬化しない。厳密な温度管理のもと、「時間との戦い」をくぐりぬけて、作品を完成させた。

黒御影石で制作したのは2点の作品。スカーフや目などの黒以外のパーツにカラーサンドを使用し、全体を石のイメージにまとめあげた。この作品では石と樹脂のみを使用し、塗装はせずに材料の色を生かしている。
オイラが腰掛けているバケツは既製品を型取りして作ったそうだ。最初はFRPの型で試したが、カラーサンドが固くて柔軟性がないので型からはずせず、最終的にはシリコンで型取りをした。
今回、立体像すべての台座も山田さん自ら制作した。それぞれの作品の形を考えて台座の形をデザインしたという。台座表面のテクスチャーには味がある。「意図的でない形を脳はきれいだと認識する。波、雲など、自然に近い形状を美しいと感じるのかな」。そんなことを考えながらヘラを動かしていたそうだ。

作品造りにかけた1年間を振り返って
「のら猫クロッチというキャラクターと向き合い、自由に作品を制作する」ことに、スタッフたちは最初とまどった。「キャラクターで自社製品のアピールをし、おのおのの作風に合うものを作る」というこの企画に、最終的には26名の制作スタッフのうち、約半数がアイディアをだしてきた。全員が通常業務とのスケジュール調整に苦心しながら、「クロッチ作品」の制作時間を確保したそうだ。2〜3週間にわたるスタッフの集中した時間を確保するのが一苦労だった。「それでも1年間という時間をかけられたのがありがたかった」と山田さんは振り返る。

展覧会の見どころは
技術開発には毎日のように取り組んでいるスタッフたちだが、今回「クロッチ」を自由に制作したことは、表現やアイディア出しの訓練になり、自分たちでオリジナル商品を作り上げることへのいいシミュレーションになったそうだ。
「『創造する』ということを、わたしたちから発信していかなければもったいない。みんな、好きでこの仕事をしているのだから」。こう語る山田さんに、今回の展覧会全体の見どころを尋ねた。

「ラッキーワイドの造形屋としてのアイディアと作品の素材感をぜひ見て欲しいです」。

 

作品「先駆け、クロッチ」(金箔仕上げ)

 

 


作品「ZEN」(黒御影石仕上げ)

 

 

【プロフィール】
■山田親広(やまだちかひろ)
造形作家。株式会社ラッキーワイドの管理職、技術主任として30名以上の若手造形作家たちをまとめている。

 

【pdfダウンロード】

のら猫クロッチと目があって6 ★ 田柳優子さん
2016年10月27日

【のら猫クロッチと目があって6 ★ 同行二人】

第6回 田柳優子さん

認定NPO法人 ACE「ピース・インドプロジェクト」担当

「クロッチの心意気が好きです」「野良はひとりで生きられる」といいながらも、
誰かのために何かをせずにはいられない!

今日、世界の子どもの9人にひとり、1億6800万人が児童労働をしている、といわれる。ACE (Action against Child Exploitation)(意味:子どもの搾取に反対する行動)は、インドとガーナで危険な労働をしている子どもたちを守りながら、日本で、児童労働の問題を伝える啓発活動や解決のための活動をしているNGOだ。今年2月に、ACEが運営するインドの職業訓練センターで学ぶ女の子たちに、オイラの服を作ってくれるよう計らってくれた田柳優子さん。8月には、完成した50着の服をインドから持ち帰ってくれた。

 

 

子どもたちの表情が変わっていく

「この活動をやっていてよかった!」。と感じるのは、子どもたちの表情の変化を見た時だと語る田柳さん。朝から晩まで畑で働きづめ、土日も休めず、ほぼ1年中働く子どもたち。表情は暗く、笑うことはほとんどない。しかも、子どもたちは、頭痛や腹痛、腰痛などなにかしら健康の問題を抱えている。コットン畑の腰をかがめる作業で腰痛に、有害な農薬のせいで不調になり、皮膚病にもなる。農薬がついた手でお弁当を食べて亡くなった子もいる。

現地では、「児童労働がいけない」と思わないおとなが多い。農村では子どもは「稼業の働き手」とみなされているのだ。村の学校の先生は、学校にこない子どもたちの面倒まではみない。ACEでは、子どもたちを学校に通わせるために、先生と村人の協力を得ようと何度も地道に働きかけていく。そして、ACEが村で実施する「ピース・インド プロジェクト」で運営する補習学校「ブリッジスクール※」の様子を親たちに実際に見てもらう。働いている時には、子ども同士でおしゃべりもせず無気力だったのに、通いはじめると、表情が生き生きと輝き、髪をとかし、歯も磨くようになる。

「それなら自分の子も学校に行かせてみるか」。と、そこでやっと親の意識が変わる。活動の仲間になってくれた村人は、家庭訪問や説得にも協力してくれるようになる。「貧しいから学校にはいかせられない」とはいうものの、実際には通わせられる家庭もある。子どもの稼ぎが必要なほど非常に困窮した親へは収入向上支援をするが、お金ではなく物で融資をする。ヤギや羊を有償貸与し、飼い方を教え、数を増やして市場で売る。ある程度の利益がでるようになったら、家畜の代金は無利子で返してもらう。

 

オイラの服をつくってくれた女の子たちとは?

今回、オイラの服を作ってくれた職業訓練センターで働く女の子たちも、9ヶ月後にミシンを有償で貸与されるんだって。誰を支援するか決めるには、本当に返済する意思や能力があるのか見極めなければならない。一番大切なのは、その親が子どもを学校や職業訓練センターに通わせる意志が本当にあるのかを判断することだという。

※ブリッジスクールとは、働いていたために学校にいけなかった子どもが基礎学力を身につけ、公立学校へ就学できるよう支援するための補習学校

 

 

活動への参加者や仲間が増えた時はとてもうれしい

「ACEは小さな団体なので、現地で救える子どもの数はとても少ないんです」。膨大な児童労働者数を減らすためには、途上国だけではなく、先進国の人々の意識を変えていく必要があるという。
「児童労働」といわれてもピンとこない日本人が、自分に身近な商品とのつながりから実感できるように、ACEでは、綿製品の原料のコットン、チョコレートの原料のカカオ、のそれぞれの生産地、インドとガーナを支援地域に選び、活動を続けている。

「児童労働の現状を伝えた後で、活動への参加者や新しい仲間が増えた時はとてもうれしいです」と語る田柳さん。大学2年の春休み、「日本と全く違う国で、子どもにかかわることをしよう」と思い立ち、2ヶ月間、インドでストリートチルドレンを保護しているNGOの手伝いをした。ところが、「子どもたちのために何かしてあげたい!」とでかけていったのに、英語もヒンディー語も通じず、何もわからず何もできなかったという。その時の悔しさとはがゆさは、田柳さんにとって初めてのノラ体験となり、人生の大きな分岐点ともなった。帰国後、「今度は日本語がわかるスタッフと共にインドに行きたい」と、同じ年の夏休みには、ACE主催の「児童労働の観点でのスタディツアー」に参加したというのだから、そのタフさに驚かされる。

 

自分を動物に例えるなら

自分を動物に例えると?「犬っぽい」。といわれる。「性格的に猫よりも犬ですね」。「わたしはクロッチのように、ひとりで生きていくとは言えないです」との答え。

 

クロッチの「受け入れられ力」を貸してほしい!

「クロッチの心意気が好きです」「野良はひとりで生きられる」といいながらも、誰かのために何かをせずにはいられない!『のらのため』という言葉も、自分のためというよりは、自分のようなつらい境遇の人のため、という性格がカッコいい!『世のため、人のため』、これはNGOもいっしょです。」と田柳さん。 最初、目つきが鋭いオイラが受け入れられるか心配したが、子どもたちも、おとなの男の人たちも笑顔になった。そしてオイラを好きになってくれた。「クロッチの『受け入れられる力』を貸して欲しいです!」。「田柳さん、ガッテンだいっ!」

 

■田柳優子(たやなぎゆうこ)
大学卒業後、企業勤務を経て、学生時代からボランティアをしていたACEで2015年からスタッフとして働き始める。

 

 

 

 

 

 

 

のら猫クロッチとACEさんとのご縁をつくってくれた成田さんとのツーショット

 

【pdfダウンロード】

縁起(えんおこし)★ 落合第一地区協議会のイベントに参加した!
2016年10月24日

10月23日(日)、毎年恒例の落合第一地区協議会のイベントに遊びに行ってきました。

 

子どもたちによる鼓笛隊の演奏で始まります。
美味しい焼き芋はあっという間に完売です。

 

 

 

受付にて。
今回は「安全・安心部会」「みどり・環境部会」「ふるさと落合部会」の
各ブースに隠れている「クロッチ」を探すという楽しい仕掛けが……。

 

 

 

安全・安心部会のブースでは、片足立ちで体力年齢を測定。

 

 

ふるさと落合部会では、落合の文化産業「染め」を見学。
江戸小紋っていうんだよ。遠くからは一見単色にみえるけど、
接近すると「ドットによる細かい模様がある」。スゴ技。

 

 

「あっ、オイラ発見。こういうことか!」

 

 

この界隈には文化人もたくさん住んでいたんだね。

落合第一地区協議会・ふるさと落合が発行している
「クロッチと歩くお散歩マップ・落合」はとても人気があって、
2011年から毎年刷増し。現在第6刷りなんだ。

 

 

新宿区長の吉住さんも見学に来てくれた!
みんなと一緒に記念撮影したんだ。
「区長さん、のら猫にとっても、住み良い街にしてくださいね」

 

 

みどり・環境部会では、
ゴーヤのジュースをごちそうになった!
「ちょうど喉が渇いていたんだ。ごちそうさま」

 

 

友好都市の群馬県沼田市からは「朝採り野菜」
ここはいつも大人気。だって新鮮で安いんだもん。

 

 

約800人が参加したんだよ。
みなさん、お疲れさまでした。
おじさん、
「いつも見守り、ありがとうございます」
またね。

クロッチ作品を創る映像作家 ★ 木村郁也さん
2016年10月13日

【クロッチ作品を創る映像作家】

木村郁也(きむらふみや)さん

会場を夜回りするクロッチ。映像ディレクターが仕掛ける遊び。

このたびの展覧会、20時のギャラリー閉場後にもちょいと楽しめるしかけがある。「夜、動き出すクロッチ」を手がけるのは、フリーで活躍する、映像ディレクターでCGクリエイターの木村郁也さん。先に紹介した横内さんの友人だ。

 

 

 

「遊び心が見どころ」と語る木村さんの作品。夜、通りを歩いている人たちに、「あれっ?」と気づいて楽しんでもらいたいという。ギャラリー内に展示された、ある作品をスクリーンにみたて、映像を当てていくプロジェクションマッピング。見た目の怖さとは対照的な、オイラの性格や抱えている背景が魅力だと語ってくれた。

イラストレーターから映像の仕事に転向した木村さんは、実は人気VJ(visual jockey)としての顔も持っている。VJことヴィジュアルジョッキーとは、DJの映像ヴァージョンのこと。VJとDJとの相乗効果で会場は最高に盛り上がる。渋谷のクラブや、幕張メッセでのミュージックフェスティバル、サマーソニックなどの大きなステージで何万人もの聴衆を前にVJとして活躍する木村さん。「ライフワークとして取り組んできたVJの仕事が、最近、軌道にのってきた」。とうれしそう。大好きなVJの仕事と、映像やCGの仕事をバランスをとりながら取り組むうちに双方のレベルがあがってきたそう。

木村さんは自分の映像作品を残すことにはあまり興味がない。
「一回ぽっきりのショーの仕事が好き」と力強く語る。そのたった一度限りのステージに全身全霊をこめるのだ。何ヶ月も前から映像の準備をするのだが、本番1時間前の打ち合わせで、「こんなふうにやってほしい」なんて突然言われることも。でもそれさえも「ドキドキするぶん楽しいですね」だって。さすが!

「全体のショーとしてバッチリいいものを出せた時はビールがうまいですね」と微笑んだ。
この夏に父親になった木村さんは、もともと子どもが大好き。高校時代には、美術の道に進むか、保父さんになるか真剣に迷ったそう。
さて、自分を動物に例えると? 「自分ではわからない」。奥様いわく「大型犬」「吠えずにずっと寝ている年をとった犬」だそう。

今後はVJとして、「より大きなステージで、海外でやってみたい!」と語る木村さん。まもなく仕事で上海に飛ぶ。

 

 

 

 

 

 


 


縦組ダウンロード(pdf)

ラッキーワイドの造形作家たち10 ★ 横内利彰さん
2016年10月13日

【クロッチ作品を創るラッキーワイドの造形作家たち。10】

横内利彰(よこうちとしあき)さん

「神様だな……」先輩方の仕事ぶりを見てそう思う。

「立体を仕事にしたい」と、グラフィックデザインの世界から転向してきた入社2年目の横内利彰さん。パソコンの前に座り、パンフレットなどの制作をしていた前職と、「造形」の仕事とのあまりの違いに当惑した入社当時。まず、「体を動かして作ること」に苦戦したという。さらに、ここでは何人ものスタッフがチームを組み、ひとつの作品を作ることが多いため、その「チームプレイ」に慣れるのが大変だったそうだ。

 

 

幼いころはアニメの塗り絵に夢中になり、そのうち独自のキャラクターを描くようになる。長じては、自分の作品を立体におこしてみたくなり、初めて作ったフィギュアを先輩の誕生日に贈ったら、それが好評で「店に置かないか」と声がかかるようになった。そんなキャラクター一筋の人生を歩んできた横内さんは、デザイナーを辞めてしばらく作家活動に専念していた。
造形作家のタクジ(T9G)氏が創ったランジアスという怪獣の人形に大きな影響を受けた横内さん。ランジアスは見る方向によって顔が違う。それは平面では表現できない。「やはり立体はすごい!」と感動したのだ。自分も「角度によって見え方が違う立体を作りたい」と思い、実在しないオリジナルの生き物を創りあげる。生み出したキャラクターはすでに何十人にものぼる。ラッキーワイドでの仕事と平行して今後も作家活動を続けていきたいそうだ。

今回、会社で手がけている立体物と、映像やプロジェクションマッピングの組み合わせができたらおもしろいと思いついた。映像の仕事をしている友人に話をもちかけ、木下さん制作のクロッチの大きな絵と映像のコラボレーションが実現した。見た目の「怖さ」と中身のやさしさのギャップがオイラの魅力だといってくれる横内さん、いつかオイラのフィギュアも作ってくれるかな。

仕事で不安を感じた時には、その気持ちを先輩方に正直に伝えるという横内さん。「いつも震えていますけどマイペースです」と気負いはない。だから、自分を動物に例えるなら、チワワかナマケモノだと語る。同期入社7名のうち、横内さん以外はすべて女性。「女性のほうが強いなと思います」。と涼しげに語る姿に、「柔能く剛を制す」、この言葉がよぎったよ。

 


 

【参考:横内利彰さんの作品】

 


 

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オイスカとグローバルフェスタJAPAN2016に参加した!
2016年10月12日

国際協力イベント、グローバルフェスタJAPAN2016(開催10月1日、2日、場所:お台場センタープロムナード)のオイスカのブースを応援してきたクロッチ。出展者も来場者も、国際色豊かなこのイベントでは、楽しみながら、さまざまな国の文化や、国際協力の活動状況ついて知ることができます。

オイスカは、のら猫クロッチの同行二人の大切なパートナーです。

「ラッキーワイド × のら猫クロッチ展」では、同行二人のコーナーで、オイスカとクロッチのコラボレーションをご紹介します。

 

 

 

 

 

のら猫クロッチと目があって5 ★ 高野之夫さん
2016年9月29日

【のら猫クロッチと目があって5 ★ 同行二人】

第五回 高野之夫さん 

豊島区長
豊島区も「野良さん」だ。苦しい時こそ、夢や希望をもつ。
国際アート・カルチャー都市。「文化」を中心にして世界に通用する街にする。

ねぐらにほど近い豊島区池袋。これまでにオイラは、豊島区制施行80周年「みんなでつくるセーフコミュニティとしま」や、地域猫のイベントに、ちょいちょい参加させてもらってきた。都心のど真ん中なのに、野良猫にもどこか居心地がいいこの街は、近年、大きな変貌を遂げている。豊島区長の高野之夫さんとはこれまでにも何度か顔をあわせたけれど、ゆっくりお話をするのは今日がはじめて!

 

 

地元から一歩もでたことがない、生粋の池袋っ子!
「鬼子母神堂境内には猫がいっぱいいるねえ、みんながかわいがってくれるから」。と地域猫の話をはじめた高野区長さん。生まれも育ちも池袋。地元の大学で学び、地元で長年、古書店を営んだ。
「でも、なぜ、区長になろうと思ったの?」
「池袋は戦後のヤミ市のエネルギーで大繁華街に発展したけれど、怖い、暗い、といったイメージもひきずって、時代に取り残された雰囲気になっていた」。
「ぼくはね、この街をいいイメージにして、自慢できる街にしたかったんだ」。
街を愛する高野さん、商店街の人たちや仲間たちに背中を押され、区議会議員、続いて都議会議員に。そして思った。豊島区を一番いい街にするには、「区長になるしかない!」と。

区民の負担ゼロで完成させた新庁舎!
夢とロマンを持って区長になった高野さんを待ち受けていたのは、借金地獄だった。区長としての最初の仕事は財政再建。区民に還元したいお金が借金の利子返済に消えていく。そんな悪循環から抜け出すためには、区民サービスも削らなければならなかったし、23区共通の職員の給料を削減した際には他の22区の労働組合から非難の嵐だったそう。
区長になって早17年、時間をかけて積み重ねてきたものが、今ようやく実を結んできたという。昨年5月には、借金ゼロ、区民の負担無しで新庁舎を完成させた。「苦しい状況を経てきたからこそ、庁舎の上にマンションを乗せるなんて発想がでてきたんだよ」。付加価値を生み出す開発には、なんと権利者全員が賛成してくれた。「あの時は本当にうれしかったなあ……」と区長さん。お金がないからみんなで知恵をだし、みんなが満足できる価値を生み出せた。

 

 

「知恵が出なけりゃ 汗をかけ! 汗もかけなきゃ 消えていけ!」
「と、こんな言葉があるんだよ」。とニコニコする区長さん。
「借金ゼロで新庁舎を建てるために、旧庁舎と公会堂を定期借地権で企業に開発してもらい、76年分の借地代を前払いでもらって、新庁舎に必要な床を買う」…そんな資金計画を進めていた矢先にリーマンショックが……。地価は下がり、資金調達できないのではと議会で叩かれた。どう責任をとるのか?「区長を辞めるしかない」。と覚悟もした高野さん、だったが……。 結果は? 景気が好転し、一番いい時に契約ができて、なんと予定を上回る地代が得られた。ギリギリの状況の中で鍛え抜かれた野良の勘できりぬけた!
「追いつめられたら人は強くなる」

「野良さん」目線のまちづくり
「野良さんは、いじめられたりするかもしれないが、だからこそ弱い立場の人たちの気持ちがわかるよね」。と区長さん。
「野良さん」って、なんてやさしい響きだろう。
「野良さんも、何不自由なければ気持ちも目線も高くなってしまう」
「街を歩いて現場を知ること、自分の置かれた環境の中で幸せを作っていけること、みんなを受け入れてお互いに助け合っていくこと、大切だよね」
新しい政策を決める時には「区民はどう考えるか、どうとらえるか」と区長さんも区役所の人たちも、野良さん目線で考えるという。相手の立場や気持ちにたったまちづくりをしているんだね。

「文化」を中心として世界に通用する街を作りたい

「苦しい時こそ、常になにかの目標や夢を持っていることが大切なんだ」。
財政再建のために、あれもダメこれもダメと削っていったら、区民も職員も元気をなくしていった。その時、「すべてマイナスではなく、先の楽しみを、夢や希望をもたなければいけない」と区長さんは痛感した。みんなを元気づけるには「文化」しかないと思った。しかし当時は、「こんなに厳しい財政状況の中、なぜ、区長は『文化』『文化』というのか、文化でメシは食えない」。そんな批判があいついだ。でも、終始一貫「文化」という点ではぶれなかった。最悪の状況でも、夢みて、人間らしく、楽しく生きていく。すぐには結論がでないけれど、そういうものを求めていけば、街も変わるし、実際、区民の考え方も変わってきたと感じている。
「野良さんもまずは目の前の食べ物に気持ちがいくだろうけど、生きるためには夢も希望も必要だろう?」
「うん、オイラにも夢がある。世のため、人のため、野良のために何かしたいんだ。」

自分を動物に例えるなら
「区長さんは自分がどんな動物だと思いますか?」と尋ねたら
「ぼくは後ろを見ずに走りながら考える。そこにクリエイティブなものが生まれてくるんだ。でも、絶えず変わるからついてくる人は大変だよ」。
「オオカミ?」「いや、そんなに怖くはない。いつも先頭を走っている群れのリーダー、うん、バッファローかな」。

 


 

高野之夫(たかの ゆきお)
豊島区生まれ。平成11年に豊島区長に就任後、現在で5期目を迎える。
区議会議員、都議会議員を経て現職。「夢を持とう!それが未来を切り拓く」を信条にピンチをチャンスに変えていく。

 

 


 


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ラッキーワイドの造形作家たち9 ★ 柿沼良さん
2016年9月29日

【クロッチ作品を創るラッキーワイドの造形作家たち。9】

柿沼良(かきぬまりょう)さん

「制作工程展示」の作品を岡谷さんと共に創る

子どものころから手を動かすことが好きで、学生時代にはインテリアデザインを専攻した。今年で入社7年目となるが、この仕事をしていなかったら、「プロダクトデザイナー」。または「すごく甘いものが好きなのでケーキ屋さんになっていたかも」と語る。家でケーキを焼くこともあるという。

 

 

「作っていく過程そのものが好き」と語る柿沼さん。
最初はクロッチ単体のシンプルなものをと考えていたが、岡谷さんと話が盛りあがり、噺家クロッチを作ることになった。

柿沼さんが担当するのはパソコンでのデータ作成だ。岡谷さんが手作業で作った立体像を、柿沼さんが3Dスキャンをし、サイズを縮小して3Dプリンターで出力する。さらに、撮りためている制作工程の写真に解説を書き添えたパネルを作るのだ。
パソコン上の操作では、実際に「もの」に触らなくても、手を動かすのと同じ感覚で造形作業ができるという柿沼さん。どちらかというと手作業が好きだけれど、パソコンの操作でも「作業」という点ではそれほど差はないと感じている。う〜ん、そういうものなんだ……。

ところで、オイラは作りやすい形だそうだ。人に近い形なのでポーズも取らせやすいのだ。とはいえ、キャラクターは顔の表現が難しい。たしかに、顔が命!だからこそ、顔の制作にはとりわけ集中して取り組みたいという。オイラは首にスカーフをまいているので、首と胴を分割して、頭部の造形に集中できる。それがやりやすいそうだ。「作りやすい形」ってあるんだね。

「いいものを作りたい」「前よりも早い時間で作るようになりたい」。といつも考えている柿沼さんは、最初に頭の中でシミュレーションして、実際に作りあげるところまでイメージする。一番うれしい時とは、最初にシミュレーションしたとおりに完成した時だ。実際にはイメージのようにはいかず途中で路線変更することもしばしばあるらしいから。

自分を動物に例えると? との問いには、わからないからと同僚に聞いてみてくれた。まわりからは「犬」、または「キツネ」といわれたらしい。そういわれれば……。

最後に、柿沼さんから、展覧会に足を運んでくれるみなさんへのメッセージをもらった。
「みなさんは製品として完成しているものを見ることは多くても、作られていく工程を見ることはなかなかないでしょう。ですから、みなさんには工程を見て楽しんでいただきたいです。そして、ラッキーワイドという会社を知ってほしいです」

 

 


 

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ラッキーワイドの造形作家たち8 ★ 岡谷侑紀さん
2016年9月29日

【クロッチ作品を創るラッキーワイドの造形作家たち。8】

岡谷侑紀(おかやゆうき)さん

高座にあがってちょいと一席! 羽織姿が粋だねぇ

「噺家クロッチ」は展覧会で重要な役どころをおおせつかっている。この立体作品ができるまでの工程が一目でわかるように、粘土の原形、スチロール、石膏取り、そしてFRPの完成像、さらにそれを3Dプリンターで出力したものまでが時系列で展示される。こんなふうに立体造形物の制作工程が見られるチャンスなんてそうそうあるもんじゃあない。

 

 

「思いを込めてクロッチを作っている」と語るのは岡谷侑紀さん。
「見る人がクロッチを好きになってほしい!」と願いながら作品に取り組んでいる。

高校時代の友人が仕事をしていたことがきっかけでラッキーワイドに入社してから6年目。「チマチマやるよりはガツガツやるほうが好き」という岡谷さんは、細かいことは嫌いではないけれど、そればかりが続くとムズムズしてくる、らしい。ものづくりが大好きで、学生時代、空間デザインよりのプロダクトデザインを専攻した。
造形の仕事をしていなかったら? との問いには、「営業かな」。「美容師になりたいと思ったことも」との答え。ものづくり業界では変わり種? なんだろうか。人とかかわることが好きな岡谷さんはチームを組んで作品を作ることが楽しいという。自分にはない様々な考えに触れることができるし、新人が腕をあげていくのを見ることもうれしいそうだ。

今回、はじめて手がけた「キャラクター」制作は「とても楽しい!」という。
とはいえ、着物のひだや、瞳の位置には思いのほか時間がかかり苦労したそうだ。そして、ついに、固い材質でできているとは思えないような、柔らかい布の質感や、今にもしゃべりだしそうなオイラの表情を作りあげてくれた。岡谷さんは、作品を人がどう見てくれるのか、反応が楽しみだと語る。そして、見た人たちが「よ〜し、噺家クロッチ、気に入った!」と、「3Dプリンターで出力した作品の縮小サイズが欲しい!」と思わせるような作品にしようと仕上げの手に力を込める。

「立体作品をこういう工程で制作している」ことを一般の人たちに知って欲しいという岡谷さん。ひとつの立体造形物ができあがる工程の複雑さに、オイラ、本当に驚いたよ

「いいものを作りたい」。
「自分自身で考えながら仕事をすることが大切」と、考えている岡谷さんは、いつも新しい方法にチャレンジしている。まだ扱っていない材料もあるし、やってみなければ何が得意なのかさえわからない。ジョブローテーションをしながらさまざまな技術を身につけたいと、仕事にはとても貪欲だ。その一方で、「根本的に楽しみながら仕事をしたい」から「どうしたら仕事が楽しくなるのか?」を考え、自分なりに工夫をこらしている。自分がいっぱいになるとまわりがみえなくなるので、それは避けるようにしているそうだ。

最後に自分を動物に例えると? との問いには「犬ではなく猫かな」。
なぜ?「人見知りだから」なんだそう。
「人を楽しませ、自分も楽しむ」。軽やかなこの抜け感、そう、猫だね。

 

 


 


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ラジオドラマ風朗読「のら猫クロッチ物語」 ★ 「桜雨」
2016年9月24日

【尾曲がりクマちゃんのお話 ★ のら猫クロッチ物語】

第4話 桜雨
ちょっぴりゆるくて、スローペースな尾曲がりの黒猫クマ。そんなクマをほおっておけないクロッチは何くれとなく面倒をみてやっていたのですが…… 春の嵐が近づく夜に、満開の桜の下でおきた小さな奇跡。

作:かりにゃん
朗読:鈴木万由香
音響制作:村田健太郎
(再生時間 約10分)音声を「ON」にしてご視聴ください。

ラッキーワイドの造形作家たち7 ★ 村井理恵子さん
2016年9月8日

【クロッチ作品を創るラッキーワイドの造形作家たち。7】

村井理恵子(むらい りえこ)さん

絵の中から今まさに飛び出そうとしているクロッチ

「飛び出す勢い! を感じて欲しい」と語る村井理恵子さん。今年入社2年目、期待の新人だ。美術系の高校で学び、大学では彫刻を専攻した。今回、「飛び出すクロッチ」の制作では、先輩にアドバイスをもらいながら、得意の粘土を使った原形に、自らが持つ塑像の技をすべて注ぎこんだ。

 

 

作品では「プロポーションでかわいらしさを表現する」ことに注力したという。オイラのボディーのデフォルメの加減が難しく、とりわけ頭部には細心の注意をはらったそうだ。うん、オイラの頭と顔の形はちょいと変わっているからね。
展覧会の来場者には「絵から飛び出している」という、平面と立体の融合の絶妙な加減を見て欲しいそうだ。この作品は、通常の立体作品とは異なり、オイラの背中、つまり後ろ側を作らない。だからこそ、表には現れない「からだ」の後ろ部分の形を鮮明にイメージしながら制作しなければならず、それが難しかったという。他には「スカーフのしわや足先も見て欲しい」そうだ。

「クロッチは後姿が魅力的ですね」と村井さん。オイラ、なんか照れちまう。「親しみやすい」ともいってくれた。ありがとう!
さて、自分を動物に例えると?
「わかりません。でも鳥が好き、特にインコが。フォルムが好きです」とあつく語る村井さんは、対象のプロポーションやフォルムにこだわりがあるらしい。「造形屋さんでなければ製造業にいっていたと思う」。とにかく「立体」を仕事にしたかった。彫刻を学んできたとはいえ、ここでの仕事は村井さんには、はじめてのことばかり。「上には上があります」。1年を経ての率直な感想だ。

「先輩からは、技術面ではもちろんのこと、仕事に対する姿勢や熱意から学ばせてもらっています」と、ゆっくり言葉を選びながら語る。
「今は、自分に渡してもらえる仕事をひとつひとつ完成度をあげられるように努力をしています」。片道2時間もかけて通勤している村井さん、がんばってね!

【別欄での解説】
「飛び出すクロッチ」を発案したのは、肉球オブジェを作った佐藤愛子さん。そして、村井さんは、岩永愛さんが担当するクロッチ時計の一部も手がけている。時計のレリーフ部分のドクダミの花と葉の粘土原形をへらで丁寧に成形した。オイラの立体作品は、作家さんたちそれぞれの得意分野をいかした共作でもあるんだね。

 

 


 


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ラッキーワイドの造形作家たち6 ★ 岩永愛さん
2016年9月8日

【クロッチ作品を創るラッキーワイドの造形作家たち。6】

岩永愛(いわなが あい)さん

木彫りの美しさ、クロッチの掛け時計

「削るたびにふわっと木が匂うんです」。ノミで削ることが大好きだという岩永愛さん。立体デザインを専攻した学生時代に、ある先生と出会い木彫をはじめた。今回、「クロッチの掛け時計」を制作中の岩永さんは、今後もずっと木彫を続けていくつもりだ。

 


写真提供:山田親広さん

 

のら猫の潔さと兄貴肌がオイラの魅力だという。作品の見どころは、「あっ、クロッチだ!」という強いインパクトと「クロッチのかわいらしさ」。人の背丈より高く設置される掛け時計に「いかに来場者の目を惹き付けるか」を考え、なんとも愉快なデザインを生み出した。作品の見どころは、ノミと彫刻刀で仕上げ彫りをする時計の装飾のレリーフだという。木目の美しさを活かした塗装にもこだわるつもりだ。
苦労したところは、今回はじめて挑戦した「キャラクター単体での削り出し」と「オイラのおにぎり型の顔」。目下、木とFRPの異素材の組み合わせでどう仕上げようかと思案中だ。

ラッキーワイドに入社してほぼ一年の岩永さん。以前は建築模型を作る仕事に携わっていた。ここでは、仕事によって毎回やることがかなり異なるという。とりわけ、作家の作品では完成度の高さを求められるために神経を使う。とはいいながら、細かい仕事が得意な岩永さんは仕事を楽しんでいる。つらいことがない。どんな仕事でもその中に楽しみを見いだしていけるタイプなのだ。

岩永さんがラッキーワイドで働いてみて、「凄い!」と思ったことがある。それは、すばらしい技術をもっているにもかかわらずおごった先輩がいないことだ。尊敬できる人が多いという。

 自分を動物に例えると? との問いには、
「わたしは狼です。本能でそう感じるんです」との力強い答えが返ってきた。
幼いころに見たテレビの番組で、狼の群れの映像を見て衝撃を受けた。「ビビッときた!」のだという。その後は、膨大な数の狼の絵を描き、動物園に何度も狼に会いに通い、ひたすら「狼一筋」の人生を歩みつづけている。
「狼愛」にかけては地球上の30人の中にはいると自負している。

「狼はもちろん、動物、木、そして自然」。それらが自分の創作活動の基盤だと語る。かつて、獣医になるか美術系の仕事をめざすか迷ったという岩永さん。狼の鋭い嗅覚と本能が、自分の才能を活かせる最高の環境と仲間を見いだしたのかも。

 

 


 


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【終了しました】アートで国際交流 in 練馬区立美術館
2016年9月7日

大人だけにはまかせられない!
世界の子どもたちとの環境サミットで世界をかえよう!

動物に変身! アートで国際交流6時間
in 練馬区立美術館

【小学3年生〜中学生を3名さまご招待】
◆募集締切:9月15日(木)
たくさんのご応募ありがとうございました!

企画 ◉ 動物かんきょう会議 x オイスカ「子供の森」計画

 

 

 

◆下記より案内パンフレットをダウンロードできます
http://nurue.com/pdf/WACE_0918.pdf

世界とつながるってすごい!
いろんな”アイディア”がどんどんわいてくる。

今年はミャンマーとモンゴルから、
植林活動や環境を守る活動をしている子どもたちが来日します。
今、世界の森はいったいどうなっているのでしょう!
日本の森との違いはあるのでしょうか?

よりよい未来のために! 動物になってワイワイガヤガヤ。
動物たちによる ”地球環境サミット” がはじまります。

※基本言語は日本語です。(各国言語の通訳がつきます)

 

◉主な内容
・アニメ視聴『動物かんきょう会議』
・創作室で『動物キャラクターづくり』
・ミャンマーとモンゴルの『森のおはなし』
・動物になってワイワイガヤガヤ『環境サミット』
・『動物宣言』して、みんなで記念撮影 など

【日本・カナダ共同開発作品「せかい!動物かんきょう会議」にむけてのアートイベントです】

 

◆日時:2016年9月18日(日)10時~16時
◆会場:練馬区立美術館
東京都練馬区貫井1-36-16  Tel : 03-3577-1821
http://www.neribun.or.jp/museum.html

◆対象:小学生高学年~中学生
(保護者の方がお申し込みください)
◆募集人数:16名
(応募多数の場合抽選)

◆募集締切:9月15日(木)
【小学3〜6年生を3名さまご招待】
(飲み物とおやつをご用意します)

 

【参加申し込み方法】
下記内容(1~8)をご記入のうえ、メールにてお申し込みください。
宛先:zomama73@gmail.com
(株式会社ヌールエ デザイン総合研究所)

《参加者》
1:お名前(ふりがな)
2:性別
3:生年月日
4:学校名
5:ご住所

《保護者の方》
6:お名前
7:ご連絡先(電話)
8:ご連絡先(e.mail)

 

◆問い合わせ
ヌールエ デザイン総合研究所(担当:筒井)
zomama73@gmail.com
公益財団法人オイスカ「子供の森」計画(担当:高田、諸江)
cfp@oisca.org

 

◉主催:ヌールエ デザイン総合研究所、公益財団法人オイスカ
◉協力:練馬区立美術館、ぶんぶんフィルムズ、青山学院Hicon、
新宿区立しんじゅく多文化共生プラザ、66LOVE協会、博進堂、
動画工房、スタジオガッツ、アスラフィルム
◉協賛:一般社団法人 練馬アニメーション

 

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プロジェクトのご案内
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◉動物かんきょう会議プロジェクト
地球温暖化防止京都会議COP3 をきっかけに誕生。アニメシリーズ「動物かんきょう会議」(2010 年)はNHK E テレ放送作品。第19回地球環境映像際「子どもアースビジョン賞」受賞。第2回ESD環境学習モデルプログラム採択(環境省)

◉オイスカ「子供の森」計画
人と自然のつながりを学びながら、木を植える活動を通して、地域や地球に貢献しています。現在、世界36 カ国で展開。動物かんきょう会議プロジェクトとは2012年よりコラボレーション。

公益財団法人オイスカは1961 年の創設以来、「農業を通じた人づくり・国づくり」を目指し、アジア太平洋地域の開発途上国において農林業開発、人材育成、環境保全を推進するNGO(民間国際協力団体)です。1980 年から植林活動を開始し、1991 年からは「子供の森」計画をスタートさせました。現在、国連経済社会理事会の総合諮問資格を持つNGO として活動しています。

 

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主催団体のご案内
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◉株式会社ヌールエ デザイン総合研究所
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-2-1 ビューシティ新宿御苑904
http://www.nurue.com/

◉公益財団法人オイスカ
〒168-0063 東京都杉並区和泉2-17-5
http://www.oisca.org/

 

アートワークショップは、美術館内の「創作室」と美術館前の「美術の森緑地」の2会場で行います。

「美術の森緑地」とは?
http://www.neribun.or.jp/web/0000_reg/00_new/file/1389_02.pdf

 

 

 

 

 

ラッキーワイドの造形作家たち5 ★ 諸橋司さん
2016年8月18日

【クロッチ作品を創るラッキーワイドの造形作家たち。5】

諸橋司さん

この迫力! 力強さ!「ねぷた」クロッチの登場だいっ!

「魅力的な表情」と「格好よく見えるポーズ」にこだわった。「光るクロッチを作りたい」と諸橋司(もろはしつかさ)さんが考えたのは「ねぷた」。クロッチ展示作品の中では今回、最大となる。

 

 

これこそ思い描いていた仕事!
「この仕事をしていなかったら大工さんか内装屋さんになっていましたね」。そう語るのは諸橋司さん。小さいころから、とにかく手を動かすことが好きだった。まだ「造形屋」という業種を知らなかった学生時代、建築を専攻しながら「からだを動かせて、ものをつくれる」仕事を探していた。映画やテレビの美術制作会社をのぞいたりもしたが、ネットで調べて門をたたいたラッキーワイドで「造形業」にめぐりあった。「これがやりたかった!」「これこそ、自分が心に思い描いていた仕事だ!」こうして今日まで12年間、天職を探し当てた感慨を胸にきざみ、仕事に取り組んでいる。

光るクロッチを作りたい!
そんな諸橋さんが作ってくれるのは、「ねぷたクロッチ」! そう、青森県の夏祭り「ねぷた」だ。歌舞伎風の人型や、武者絵が描かれた扇形山車燈籠を引く大勢の人たちが街を練り歩く、勇猛果敢で幻想的な伝統祭りだ。
ではなぜ「ねぷた」を作ろうと思ったのか? 諸橋さんはまず、照明のようなものを作ろうと考えた。「光る」「光らせる」そんなことを考えていくうちに、かつて見た青森の「ねぷた」を思い出したのだ。「そうだ! クロッチのねぷたがあったらおもしろい!」こうして「ねぷた」クロッチの制作がはじまった。
まず、諸橋さんが作成するのはスチロールの原形だ。粘土かスチロールでポーズを決めてしまい、そこから図面をおこして形をおこす。原寸より少し小さく作る。完成した原形は、青森在住のねぷたの職人さんの手によって、細い鉄筋で骨組みされ和紙が貼られる。ここで再び、クロッチは諸橋さんの手元に戻される。まず、和紙には滲み止めとしてクリアをエアガンで吹き付ける。それから水性塗料で着彩していくという。なんと手のこんだ工程だろうか。

 

 

諸橋さんの作品の見どころは?
さて、ねぷたクロッチのお題は、ご存知、歌舞伎の「助六」だ。かつてこんなに粋なオイラがいたろうか。 作品の見どころを尋ねると、「迫力」そして「力強さ」との答えが返ってきた。高さが1m近くもあり、今回の展示作品の中では最大となる。とりわけ諸橋さんがこだわったのは「魅力的な表情」と「格好よく見えるポーズ」だ。手をつきだし、重心を低くして「決まっている!」感じを出すのは難しかったそう。「全体的なバランス」にも苦労したという。

 

 

「立体」は凄い!
ちかごろ、諸橋さんは立体造形物の力の凄さをあらためて感じているという。テーマパークやショッピングモールで、立体のキャラクターに大喜びをするわが子の姿を見るにつけ、「立体」ならではの圧倒的な存在感と訴求力を実感するそうだ。現場に設置した作品を、来場者が楽しそうに眺める姿を見るにつけ、「本当によかったなあ」と思う。
クリスマス、某テーマパークに、自分が手がけた造形物をわが子といっしょに見に行ったことがある。「パパが作ったもの」を見たことが、子どもには忘れがたい思い出となった。それからは、「今はなにを作っているの?」とちょくちょく尋ねられるそうだ。
「まず仕事があり、健康でその仕事ができる」。このことをあたりまえと思わず、感謝する気持ちを忘れたくないという。連日、夜遅くまでハードな仕事を続けた時も、体力的にきついなと思いはしてもつらくはないという。
近年、切削機や3Dプリンターなどの最新設備が社内に導入された。細かいディテールに関しては、3Dプリンターでサンプルを作る。機械のほうが細かさや正確さは優れている。とはいえ、まずは元となるデータを人の手で作らねばならず、そのデータ作り自体が大変な作業だ。
そして、今もなお、先輩方が培ってきた手仕事のノウハウはすべての基になっている。諸橋さんは、先輩たちから受け継いだ手法と技術を、今後、後輩たちにどうやって伝えていこうか。と考えている。

 

 

自分を動物に例えたら?
最後に、自分を動物に例えると? との問いには、「そんなこと考えたことがないなあ」。としきりに困った顔。しばらくして、「う~ん、熊、ですかね」。理由は、熊のイメージが、「やさしい」「力持ち」という点で「親としてそういう存在になれればいいな、という気持ちからです」。と微笑んでくれた。

 


 


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のら猫クロッチと目があって4 ★ 高田絵美さん
2016年8月18日

【のら猫クロッチと目があって ★ 同行二人】

第四回  高田絵美さん 

公益財団法人オイスカ/子供の森計画 担当課長

「子どもたちは国境の中に住んでいるけれど、これからの社会問題、環境問題は国境を越えていかねばならないのです」

「国を越えて協力しあいながら地球環境を良くしていこう」と世界中で活動を展開しているオイスカ・インターナショナル(以降「オイスカ」と省略)は、今年で創立55年目、日本では最も古い国際協力NGOのひとつだ。「子供の森」計画は、子どもたちをターゲットとしたオイスカのプロジェクトである。「『人と自然環境』『人と自然のつながり』を学びながら、『木を植える』行為を通して地域や地球に貢献していく」。こんな子どもたちのアクションを応援して、はや四半世紀、今日、世界36か国で展開している。この国際的プロジェクトを統括しているのが高田絵美さんだ。

 


オイスカのマークを首につけたクロッチと高田さん

 

木を植えて地球の命にふれあう機会を子どもたちに
「生活が大変な国や社会的な問題がある地域で、ひとりでも多くの子どもたちが、木を植えて、生き物や動物、地球の命にふれあう機会をもってほしいです」。
こう語る高田絵美さん。海外の子どもたちと接することが多い。「子供の森」計画の活動に参加する子どもたちは、植林をしたり、ゴミ拾いなどの地域の清掃にみずから進んで取り組み、積極的に意見を述べるという。
キラキラした瞳で活動する姿を見るにつけ、この子どもたちの成長に関わらせてもらっていると実感する。それがとてもうれしい。やりがいを感じる。そして、現地の父兄や先生たちから「緑が増えて村自体が豊かになってきた」と喜ぶ声を聞いた時の感慨はひとしおだ。
しかし、その一方で苦労することもある。海外では日本人的な常識や感覚が通用しないことがあり、予定どおりにものごとが進まないことも多い。そのたびに、現地の人たちと、プロジェクトを支える日本の企業や個人支援者との間にはいって調整しなければならない。そんな時にも、高田さんは、それぞれの文化を尊重したいと考える。「支援する側」と「支援される側」の双方が対等の立場でありたい。そのために、こちらの要望を押し付けるのではなく「いっしょに地球環境のためにできることをやっていく」姿勢を大切にしているそうだ。日本人側にも現地の状況を理解してもらえるように「相互理解」のためのアクションが常に欠かせないという。

海外に支局があり、大勢の現地スタッフがいる「子供の森」計画プロジェクトは、現地の人たちが同じ気持ちと志をもってくれて、現地のリーダーが育たないとできない仕事だという。活動に参加していた子どもが成長し、今は先生として指導にあたるケースも少なくない。
「世界的に環境問題が改善されて、動物たちの命、他者の命を大切にできるような子どもたちが育ってくれるといいなと思うんです」。高田さんはじめスタッフの人たち、「子供の森」計画に携わるすべての人々の願いだ。

 


活動に参加している各国の子供たちが描いてくれた絵

 

昆虫少女は今、農業と地球保全、環境教育に取り組む。
子どものころから土仕事が大好きで、お祖父さんの趣味の畑を進んで手伝う野良少女だった。卵から大切に育てていたカブトムシはいつのまにか100匹に増えていた。夏の夕方、蝉のさなぎを捜してきては、家のカーテンにとまらせて羽化する様子を観察する昆虫少女でもあった。そんな高田さんにとっては天職といえそうなこの仕事だが、以前は国の行政機関で働いていた。前職では当然のことながら「日本の政策」について考えることが多かった。終日、高層ビルで働き、日本のことだけ、自分の暮らしだけに目線がいきがちだったという。そのうちに心の中で「よりグローバルな視点で海外の人たちと共に仕事をしたい」「NGOで活動をしたい」という思いが募っていった。
当時、最も関心があったのが、「食」と「農業」の問題。「食はすなわち農業」だ。そして「農業」と「地球環境の保全」、このふたつの問題に取り組んでいたのがオイスカだった。しかも、環境教育を学んでいたこともあり「地球環境問題をわかりやすく伝えていきたい」と考えていた高田さんにとって、「子供の森」計画は運命的な出会いだった。
最初インターンとして入団してから7年がたった今日、海外のスタッフたちが正直に気持ちを話してくれるようになり、こちらも無理を言えるような仲になってきたという。

 


活動25年目を迎えた「子供の森」計画

 

自分を動物に例えるなら
オイスカは世界各地で活動を展開する大組織だが、プロジェクトベースで動くためいろいろなことにチャレンジできる。海外出張も多い中、どんどんアイディアが浮かんでくるが体はひとつ。これが悩みだ。「手を広げすぎておこられます」と苦笑する高田さん。自分を動物に例えると?「こまめに動くからリスです」と即答してくれたが、スタッフからは「マグロ」と言われた。常に動いていないと死んでしまうから。確かに!

世界の空はひとつ
「クロッチはのら猫でボーダーレス。動物の視点で社会問題を考えようとしている。だから、オイスカの活動現場にたくさん行って欲しい。そして、国境も偏見もないクロッチの目線で、国境を越え、人と人や、人と動物をつなげる役目をしてほしい」
「世界の空はひとつ」。最後に素敵なメッセージ。オイスカの創業者の言葉だ。「ひとつの空のもとでオイスカの現場を走りまわり多くの人や動物を惹きつけ、一緒に未来に向かって頑張っていけるようにつなげていってね、クロッチ!」ガッテンだいっ!

 


 

■高田絵美(たかだえみ)
愛知県生まれ。国家公務員を経て2009年にオイスカの国際協力ボランティア制度によりフィリピン各地で植林や環境教育のボランティア活動に従事後、東京本部勤務。
現在、海外事業部「子供の森」計画 担当課長
公益財団法人オイスカ http://www.oisca.org
オイスカ「子供の森」計画 http://www.kodomono-mori.info

 


「子供の森」計画とクロッチのコラボポストカードが完成!
2016年8月17日

オイスカの「子供の森」計画プロジェクトの活動は今年で25年目を迎えました。

http://www.oisca.org/project/cfp/

このたび、「子供の森」計画が支援している国の中から、ミャンマー、フィリピン、フィジー、そして、苗を植えるクロッチの4種類のポストカードが完成しました。

ポストカードの売りあげは「子供の森」計画の活動のために役立てられます。 定価は5枚セットで500円(税込、送料別)となります。(5枚目のポストカードは開けてびっくりお楽しみクロッチのイラストです)

購入を希望される方は、 cfp@oisca.org  宛にお申し込みください。

★お名前 ご住所(ポストカードの送付先) ご連絡先(E-mail)をお知らせください。

 

 

 


★苗木を植えるクロッチ

 

 


★フィジー

 

 


★フィリピン

 

 


★ミャンマー

朗読、はじめます ★ のら猫クロッチ物語 第1話
2016年8月17日

第1話 似た者同士
抜群の運動神経が自慢のクロッチは、ある時、自分より高い場所で身軽に動きまわる鳶の親方を見て驚き、心ひかれます。一方、クロッチの潔い野良っぷりに感心した親方はある「こころざし」を贈るのですが……。男気あふれる友情の物語。

 

作:かりにゃん
朗読:鈴木万由香
音響制作:村田健太郎
制作著作:NURUE 2016

祖父母と孫の異世代交流マガジン 『孫の力』休刊
2016年7月25日

「孫は あなたと 日本の 未来です」

2011年7月25日に創刊した隔月誌「孫の力」(発行元:木楽舎)で、のら猫クロッチは「幸せ運ぶメッセンジャー」役として、創刊号〜14号まで紙面上のみならず、さまざまなイベントで活躍できる機会をいただきました。

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隔月誌「孫の力」の休刊のご案内とバックナンバーをご案内いたします。
http://www.magonochikara.com


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「クロッチ物語」「クロッチ川柳」を連載。「クロッチと同行二人」企画では「あしたのジョー」の漫画家ちばてつや先生を取材しました。そのとき、ちば先生から「クロッチはのら猫なんだから、ちゃんと『のら猫』をアピールしないと、生き方が伝わらないじゃないか」と指摘され、その日以来「のら猫クロッチ」を名乗るようになりました。

人と人、人と社会を縁結ぶ「〆キャラ」という言葉もこの雑誌での活動をとおして生まれました。「孫の力」にクロッチは育てられたのです。

「孫の力」。本当にありがとう。

世界初の「孫」の雑誌を5年間に30冊発行しつづけた出版社「木楽舎」のクリエイティビティとチャレンジグ精神はさらに凄いことをするに違いありません。みなさま、どうぞご期待ください。

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隔月誌「孫の力」の休刊のご案内と
バックナンバーをご案内いたします。
http://www.magonochikara.com
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のら猫クロッチと目があって3 ★ 大西和子さん
2016年7月6日

【のら猫クロッチと目があって ★ 同行二人】

第三回  大西和子さん 

株式会社PJC 代表取締役/デザイナー


「クロッチは野良だから櫛が通るような毛並みではだめ」だから、さまざまな方向に刺繍糸があばれる「乱れ刺し」
エンプロイダリーレースの老舗メゾン、PJC KAZUKO ONISHIのオーナーデザイナー大西和子(おおにしかずこ)さんと出会ったのは今から7年前。ねぐらからはほんのひとっ走り、オイラが迷い込んだ「都会の草っ原」はPJCのアトリエだった。それからというもの、大西さんは野良猫クロッチをPJCのオリジナルエンブレースの草むらで遊ばせてくれている。

※エンブロイダリーレース(以下、エンブレースと省略)とは、エンブロイダリーレースの機械で施した刺繍レースのこと。

「野良猫だからクロッチに興味を持ったの」。36年にわたりオリジナルのエンブレースを創ってきた大西さん、実はその生きざまこそ「野良」そのものだ。


 自分のレースは「ファッションではない」とずっと思っていた。青春時代、「ドロップアウト」「アングラ」「前衛」の真っただ中を駆けぬけてきた大西さん、表現の道具がたまたまレースだっただけで、実は「紙」でも「額」でもよかったという。
 レースでいったい何を表現できるのか? 
 遠い原風景を、手にはいらないものを追いかけて、永遠のあこがれを描いてきた大西さん。こうして描きだされた世界が、PJCのオリジナルエンブレースの図柄となっていったのだ。
 学生のころから今日までずっと絵を描き続けている。どこか満たされない気持ちの穴埋めだという。描くのはいつも自分自身、絵は日記でもあるという。その絵はこんなひと言とともにPJCの新作案内状としてお客様のもとに届けられてきた。
「一億光年の色」「星屑ばかり」
「夢ハ見マセン、緑の子」
「ホントハツタエタイ」
「と、もう一度。」

 PJCのエンブレースは一度見たら忘れられなくなる。ひとめ惚れをし、魅力の虜になった人たちが、全国各地から飛行機や新幹線を乗りついでやってくる。 繊細な絵柄、色の魔術、微妙な濃淡、独特の美しさだ。
 大西さんはまず素材にこだわる、糸からこだわる。京都の友禅の職人さんが6回も天日干しを繰り返した墨染めの糸、これがオイラの刺繍に使われている。「クロッチは野良だから櫛が通るような毛並みではだめ」。と大西さんは、さまざまな方向に刺繍糸があばれる「乱れ刺し」でオイラの毛並みを表現してくれた。と、こんな具合に、すべての作品に大西さんの特別な思いと職人の高度な技が込められている。膨大な時間と手間をかけて創りあげられてきたエンブレース。

 大西さんの運命を変えたのは、バッタ屋に山積みされた糊抜きされていない生成りのデッドストックレースとの出会いだ。当時は生成りのレースの商品などどこにもなかった。糊抜き工場を知らなかったので、服にするため。それから毎日のように、自宅の風呂場で、足で踏んで糊抜きを繰り返した。糊で足は真っ黒になった。糊ぬきをした生成りレースを干す。洗われてこざっぱりとしたエンブレースの素肌の感触は、人の内にある自然身体感覚を呼び出す。そんな懐かしさにも似たあたたかな感覚だ。こうして大西さんは8年間、生成りのレースの服だけを作りつづけた。やがて、そのデットストックレースがなくなった時、「布の宝石箱」と評される大西さんのオルジナルレース作りははじまった。

それからというもの、いつも「八方ふさがり」、いつも「絶体絶命」、いつも「挑戦」だった。
だから、いつも「なんで?」と問い続けてきた。でもどんな時にもあきらめずに工夫した。
そして、いつも「偶然」に導かれてきた。そして今日まで、華やかだけれど自然の素朴さを感じさせ、どこかあたたかみのある「特別な日常着」を作り続けている。
「PJCのエンブロイダリーレースを手にしてくれた人が幸せになってほしい」。
「それを着ている時に幸せになってほしい」。
今日も大西さんは、お客様の笑顔を思い浮かべ、仕事をしている。

オイラには「世界のクロッチになってね。のら猫の応援団長になって!」と大きなエールをもらった。
最後に「自分を動物に例えると?」と尋ねてみた。
しばらく悩んだ後に「犬かなあ……」。

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■大西和子(おおにしかずこ)
オリジナルエンブロイダリーレースの老舗メゾン、PJC KAZUKO ONISHIのオーナーデザイナー。
高度な刺繍技術と独自の「手干し仕上げ」を用いた比類無き作品の数々を世に送り続けている。





PJC x のら猫クロッチ 日本橋三越本店
 
2016年6月1日〜7日
















ラッキーワイドの造形作家たち4 ★ 清水守正さん
2016年7月4日

【クロッチ作品を創るラッキーワイドの造形作家たち。4】


宿命のライバル、カラスのゴンゾの対決シーン


「獣医か競走馬の厩務員になっていましたね、この仕事をしていなければ」

そう語るのは、入社17 年目のベテラン、清水守正さん。



幼いころ、家ではオウム、犬、猫、馬などを飼っていて、保育園にもヤギやウサギがいた。そんな動物パラダイスで成長し、現在も14羽のインコ、5羽のウサギやミドリガメと共に暮らしている。こんな清水さんが手がけているのは、オイラ、クロッチと宿命のライバル、カラスのゴンゾの対決シーンだ。板塀の屋根の上でのにらみあい。その臨場感に圧倒される。いつも身近に鳥を観察しているからこんな作品が生み出せるのかな。


 「クロッチの顔のおむすび型が造形的におもしろいね!」「べらんめえの言葉使いや、一見、やさぐれた雰囲気も気にいっている」という清水さん。

「一歩引いて、立ち去る」。そんなクロッチの「フーテンの寅さん」的な世界観を表現しようと、なんともなつかしい昭和の街角を出現させた。錆びついたトタン屋根と古びた板塀。このようにふだん見慣れているなんの変哲もないものを、かっこ良く見せようするとどこか作り物感がでてしまうという。そこを「いかに自然に見せるか」が技の見せどころ。木の板に見えるが、実は塀の表面は薄い発砲スチロール板。プラスチック製の透明トタンは金属風に塗装し、さらにサビ加工を施した。刷毛で何度も塗り重ねて埃まみれの風合いを表現する。驚いたことに、清水さんは参考写真など何も見ないで、頭の中のイメージだけで全てを作っているんだ。

 


 でも、オイラの造形はそう簡単ではないという。アニメ風な完成度をつきつめると、原画の水彩画の良さをそこねてしまう。立体制作では感覚的なものがかなり要求されるのだ。


 オイラとゴンゾの制作では、最初に手とヘラを使い、粘土状のパテで小さい模型を作る。その模型の写真を拡大してスチロールのブロックに貼り付け、正面と横からアウトラインをカットする。小さい模型を見ながら感覚だけをたよりに包丁で削っていくこの作業では、経験と慣れがものをいう。ここが最も神経を集中する工程だ。ある程度の形ができるまでは緊張の連続とのこと。でも、それをすぎると「この仕事をしていてよかったなあ」と感じ、その後の仕事がとても楽しくなるという。これから取りかかる着彩では、塗装スプレーと刷毛などでニュアンスをつけながら、クロッチの黒い毛とゴンゾの黒い羽根の色の差別化をしていく。



「とにかく手を動かすことが好き!作りたくて仕方がない」という清水さんは、時々、好きな仕事で遊びながらお金をいただいていると感じる。とはいえ、そこは仕事、納期も含めシビアな制限がある。お客さんに喜んでもらえることを大切にしているが、自分の満足度とお客さんの要求するものが違った時はつらいらしい。


 後輩たちや新人たちには「美術学校で学んだことをそのまま仕事に活かせるのは幸せなこと。だから自分は恵まれていると思ってほしい。しんどいこともあるだろうけれど、できるだけ仕事を続けてほしいですね」。と温かいエールを送る。

さらに、長年、造形に携わってきたひとりの造形職人としてこんなアドバイスを。「デジタルは道具としてはすばらしいけれど、それがすべてではないです。ゼロから手で作ることを忘れない方がいいのかな」。そこでニッコリした清水さん、「停電しても作れるからね」。う~ん、なるほど。


「立体オタク」で粘土や彫塑が得意。「足していく作業」が好きだという清水さんが親しみを感じるのは、粘土、木、石、などの自然素材だ。自然の色に近づくものをどうやって作りだそうか?と日々、思いをめぐらし工夫を重ねている。

「でもね、自然のものにはかなわないです。猫の目やインコの羽根の色の美しさにはね……」。こんな風に言ってもらって、オイラ、ちょいと照れくさかった。

 

 最後に「自分を動物にたとえると?」と尋ねると「セキセイインコかな」と即答した清水さん!理由は「よく動き、よくしゃべる」からだそう。職場に欠かせないムードメーカーの一面をみたよ。




【清水さんの恐竜! ワンフェスに!】

11月のエキシビションでは、クロッチとゴンゾの対決場面の作品の他に、得意の恐竜の模型を出展する。怪獣オタクで特撮オタクだという清水さんは、マニアの祭典、ワンダーフェスティバルに毎年出展している。次回は7月24日(幕張メッセ国際展示場)。




のら猫クロッチ、フィジーに行く!
2016年7月3日

いってきました、フィジー共和国!

到着したのは4月20日、30度を越えた蒸暑い日だった。

 オイスカの増留さんに連れられてやってきた南太平洋の島で、オイラが最初に目にしたのは、今年2月に襲来した巨大サイクロンの大きな爪痕だった。南半球の観測史上最大級といわれるサイクロン、ウィンストンの被害はあまりに大きく、電柱は倒れたまま、全半壊の家屋のかたわらで、海外からの国際NGO、NPOのメンバーによる復興作業が行なわれていた。日本での研修を終えてフィジーへ帰国したばかりのオイスカのOB、ジョー氏の村では、たった一軒を残して全ての家屋が全半壊し、ジョー氏の家はほとんどなくなってしまったんだ。

以前CFPで植え、被害を免れた木とクロッチ


 フィジーで1992年から始まった「子供の森」計画(CFP:Children’s Forest Program)活動。フィジー国内で毎年2,000人以上子どもたちが参加し、これまで59もの学校で活動を行っているそうだ。オイラが行った学校では、小学校の高学年が参加して植林をした。授業の一環として、今回は自生樹木とグアバ、ジャックフルーツなどを植えたんだよ。その他にも子どもたちは自然のサイクルを理解するために、野菜の栽培方法も学ぶんだ。


今から植林するよ
植林終了後パシャリ


 この他にもオイスカでは、村の農林業開発、そして、マングローブ植林に力をいれている。フィジーではマングローブは自生しているため、わざわざ植林して増やしていくことの大切さが、住民にはわかりづらいという。実は、マングローブは海面上昇と海岸の浸食をくいとめていたり、山から流されてくる土砂を塞き止めているんだ。その大切さを、マングローブの苗を植えることを通して伝えようとしている。苗を植えるのは、子どもたちやオイスカの研修生、村人たちだ。この活動によって、今では住民たちのマングローブへ対する保全意識も高くなってきているそうだ。

順調に育つマングローブサンゴと村の子供



 ところで、フィジーでは近年、サンゴの白化が深刻な問題となっている。地球温暖化や開発による土砂の海水への流入などの原因により、光合成ができなくなったサンゴは死滅してしまう。そして、このサンゴの死滅が生態系に大きな影響を与える。まず魚がいなくなる。すると、他の生き物や動物もいなくなる。その結果、フィジーの人たちは漁ができなくなってしまう、というわけ。


そこでオイスカでは、サンゴ礁保全活動とサンゴを育てるプロジェクトを行なっている。

サンゴの成長しやすい環境をつくり、サンゴの定植活動をしているんだよ。

また、ホテル主催のエコツーリズムを開催し、サンゴ保全に対する理解を高めようという計画がある。参加者にはサンゴの定植体験をしてもらい、フィジーの現状、サンゴや海が脅かされている環境を知ってもらうそうだ。


サンゴの苗床、魚がいっぱい!




のら猫、のら犬が自由気ままに人と共存しているフィジー。

オイラにはとても居心地がいいところだった。

今、サイクロンの被害を乗り越えようと頑張っているフィジーの人たち。

そして子どもたちが向けてくれた満面の笑顔、オイラ、忘れないよ! 

フィジーの海のきれいなサンゴ礁を思いながら、オイラ、絵を描いた。

これは今年8月にオイスカのポストカードになるんだ。楽しみにしていてね!



またフィジーの子どもたちが考えたサンゴのキャラクターのお話が紙芝居になってるんだよ!

フィジーの環境問題をみんなも一緒に考えよう!

↓↓↓↓↓

◉紙芝居ページリンク:http://animalconference.com/oisca/world/fiji/




【オイスカ「子供の森」計画の活動】

「子供の森」計画(CFP:Children’s Forest Program)の目的は、子どもたち自身が、学校の敷地や隣接地で苗木を植えて育てていく実践活動を通じて「自然を愛する心」「緑を大切にする気持ち」を養いながら、地球の緑化を進めていこうというプログラム。1991年にはじまったこの活動は、2015年3月末現在、35の国・地域の4,692の学校が参加するまでにその輪が広がっています。


【ちょいとお知らせ】


オイラ、オイスカ「子供の森」計画の応援団になったんだ。

ぬいぐるみとポストカードの売り上げの一部が「子供の森」計画の支援につながるよ。8月には、フィジー、ミャンマー、フィリピン、植林をするクロッチを描いたクロッチポストカードができあがる。

例えばフィジーのポストカードはこんな感じだよ。


ポストカード
しりあがり寿の現代美術 回・転・展 in 練馬区立美術館
2016年7月3日

7月3日(日)から9月4日(日)まで練馬区立美術館で開催されます。しりあがり寿さんの着眼点ってすごくユニーク。ヤカンが回転すれば現代美術。会場ではいろいろなものが回っています。「回転宣言」の一部をご紹介します。

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「回転宣言」

ヤカンが静かに回りだす
ゆっくりゆっくりくるりくるり
その姿はこのうえなく美しい
しかし回り出した瞬間、それはもう元のヤカンではない
水も汲めない、湯も沸かせない、ただ静かに存在感を放つだけの金属だ、

・・・・(中略)・・・

いまや直線的な歴史の放棄を迫らせた人類に 

回転にこそ、その未来があるのだと覚醒を促す・・・

回れ回れ、回転に幸あれ!

2016年7月  しりあがり寿


ヤカンが回ってる。縄文人の親子も回ってる。西郷隆盛さん、勝海舟さんも回ってる。7月3日(日)から9月4日(日)まで練馬区立美術館で開催されます。




詳細はこちら
http://www.neribun.or.jp/web/01_event/d_museum.cgi?id=10302

縁起。(えんおこし)★日本人のいい顔。東山のおねえさん
2016年7月3日

舞妓さんの舞踊、はじめてみました。

のら猫クロッチと目があって、ウインク決め。



多文化防災フェスタしんじゅく・5月28日(土)をお手伝い
2016年5月25日

いっしょに防災について考えよう!
のら猫クロッチの着ぐるみとの記念写真をプレゼントします。


 

 

Multicultural Disaster Prevention Festa Shinjuku

~International Exchange and Disaster Prevention Event~

1 Date and timeMay 28 (Sat.) 10 a.m. to 3 p.m.

(This event will be canceled if the weather is bad.)

2 Location : Okubo Park (2-43 Kabuki-cho)

3 Programs :

(1) Disaster prevention corner

♪an earthquake simulation truck ♪trying on fireman uniform

♪emergency first-aid/rescue drills, AED practice

♪fire engine display ♪fire-extinguishing practice

♪a disaster prevention lecture ~To prepare for a probable big earthquake

※a stamp rally with disaster prevention goods gifts (on a first come, first serve basis)

(2) Multicultural exchange corner

(3) Multicultural gourmet

4 Organized by Shinjuku City

多文化防灾节新宿~国际交流和防灾典礼!~

1 日期:2016528(星期六) 上午十点钟到下午三点钟(下雨中止)

2 场:新宿区立大久保公园(歌舞伎町243)

3 内容:

(1) 多文化防灾活动区

验起震车试穿消防服救急救命・AED(心脏苏生器)的体验

消防车展示验消火器防灾讲座 ~ 在大地震时必须准备的~

举行盖章竞走 赠送防灾品(先后为顺序)

(2) 际交流展示区

(3) 多国籍美食区

办:新宿区

다문화 방재 페스타 신주쿠~국제교류와 방재의 제전!~

일시:2016528() 10:0015:00 (우천 중지)

회장:신주쿠구립 오오쿠보공원 (가부키쵸243)

내용:

(1) 다문화 방재 코너

기진차 체험소방복 시착구급구명・AED체험

소방차전시소화기체험방재강좌~반드시일어나는 대지진에 대비하여~

스탬프랠리 개최, 방재 상품 선물(선착순)

(2) 국제교류 코너

(3) 다국적 음식 코너

주최:신주쿠구

Inquiries: Shinjuku Multicultural Plaza

(Monday through Friday, 9 a.m. to 5 p.m. ※closed on the second and fourth Wednesday of the month)

:新宿区多文化共生广

(从星期一到星期五上午九点到下午五点。第二和第四个星期三休息)

문의: 신주쿠구립 신주쿠구 다문화공생 프라자

(월~금、917시、2,4수요일 휴일)

:03-5291-5171

HP:http://www.city.shinjuku.lg.jp/tabunka/file03_00001.html

E-mail:tabunka-plaza@city.shinjuku.lg.jp

 

のら猫クロッチ x PJC 【日本橋三越本店 本館3階】
2016年5月25日

PJC KAZUKO ONISHI 2016
のら猫クロッチ x PJC

6月1日(水)〜7日(火)
午前10時30分〜午後7時30分

日本橋三越本店 本館3階 イベントスペース東

のら猫クロッチ x PJC 【日本橋三越本店 本館3階】
2016年5月25日

PJC KAZUKO ONISHI 2016
のら猫クロッチ x PJC

6月1日(水)〜7日(火)
午前10時30分〜午後7時30分

日本橋三越本店 本館3階 イベントスペース東



















ラッキーワイド x のら猫クロッチ展 ★ 第1弾
2016年5月25日

チラシ第1弾が完成しました。下記よりダウンロードできます。
↓↓↓
http://krocchi.com/pdf/Krocchi_1_0525.pdf

のら猫クロッチ、ミャンマーに行く!
2016年5月25日

オイラは緑が少ない都会で生きるのら猫さ。木々や草花のありがたさは身にしみている。

だから、「子どもたち自身が苗木を植えて育てていくことで地球の緑化を進めていく」、オイスカの「子供の森」計画を応援したいんだ。

→「子供の森」計画 http://www.oisca.org/project/cfp/


シンタンくんとクロッチ

公益財団法人オイスカは、今年で活動55年を迎える国際NGO。

http://www.oisca.org

そしてオイスカの「子供の森」計画は活動25年目、子どもたち自身が、学校の敷地や隣接地で苗木を植えて育てていく実践活動を通じて「自然を愛する心」「緑を大切にする気持ち」を養いながら、地球の緑化を進めていこうというプログラムだ。すでに世界の35の国・地域の4,692の学校が参加している。


2014年には日比谷公園のグローバルフェスタのオイスカブースに着ぐるみクロッチが応援にいったよ。つい最近では、世界の森づくり応援プロジェクトのパンフレットに登場して「書き損じハガキやバルマーク、古本」を送ってくれるよう呼びかけているんだ。みなさん、ご協力お願いします!

http://www.kodomono-mori.info/furuhon/krocchi/



暑かった! 2月というのに気温はなんと30度!

 ここはミャンマーの中央部のマグウエィ地域、パコック県イェサジョ郡というところ。日本からオイラを連れてきてくれたのは増留愛香音さん、公益財団法人オイスカの国際協力ボランティア(4月からはオイスカの正式スタッフ)だ。ここに来た目的は、かつて来日し日本の環境について学んだ子どもたちが、ミャンマーに帰国後、地元でも学んだことができているかどうかのインタビューなんだって。この地域は砂埃が舞う乾燥地帯で、もともと林や森は少なかった。しかも、煮炊きに使う薪や家の壁などに使うレンガを作るための森林伐採のせいで、さらに木が少なくなってしまっていた。

 その後、オイスカの支援と指導で、子どもたちが木の苗を植え、水をやって育ててきた。今では木々は育ち葉が茂り、木陰で遊んだり勉強ができるようになった。木陰ではきれいな花も咲いている。この自然環境の大きな変化に、子どもたちは感動し、木のありがたさ、植林の大切さを実感しているという。


 この地域の子どもたちは、なにかきっかけがあれば自分たちで動こう! という姿勢があり、自発的に「こうしたい!」と思って行動する。そこに増留さんは心を動かされたという。そして、子どもたちのそんな姿を見た親たちも感動するらしい。

日本での体験を発表しているよ。


ピョーくんと家族だよ


メイちゃんがお母さんといっしょにゴミの分別しているよ


 国民の大半が仏教徒で、就寝前はかならずお祈りをして、家族を大切にするというミャンマーの人たち。子どもたちは、おとなしくて、真面目、勤勉で賢い。誠実だという。 

 

 日本での研修を受けてミャンマーに帰国した子どもたちは、まず、ゴミを分別するようになった。さらに子どもたちは村人にもゴミの分別を教えるだけでなく、ゴミをリサイクルして得たお金をなんとお寺に寄付したという。すごいなあ……。

その一方で、野菜を育てた子どもたちは、その野菜を村人たちに配るんだって! これもすごい!

 そんな子どもたちの姿を見た親たちと村人たちは、次第にオイスカの活動に協力するようになったらしい。ここは、生活用水を確保するのさえも大変な乾燥地域なので、「木々と育てるための水」を使用することでは、最初、住民の理解を得るのが大変だったという。でも、子どもたちの行動が、次第に親や村人たちに影響していって、ついには村人たちの心を動かしていった。そんな子どもたちのすばらしい力を実感しているという増留さん。

自然を守る歌をみんなで合唱


小さな苗が、こんなに大きく育ったよ


シンタンくんの家だよ



 オイスカは、日本やミャンマーなどのさまざまな国に農業や食品加工を教えているセンターがあって、そこで学んだ青年たちや子どもたちが集まり、村の人たちに学んだことを伝えているんだ。乾燥地帯のイェサジョ郡で穫れたヒヨコ豆のアンを包んだセンター特製のアンパンをほおばりながら、オイラ、子どもたちに囲まれてすごく幸せだった。


こんなことが今、世界のいろいろな場所で広がっているんだね。

子どもたちの力って凄いんだね!

さあ、オイラもこれからひとっぱたらきするよ!

村の様子。空気がとても乾燥しているんだ。


にぎやかな青空市場だよ。


ラッキーワイドの造形作家たち3 ★ 木下勇治さん
2016年5月25日

いちばん目を引くクロッチの看板

 1.8メートル四方の大きなキャンバスいっぱいに、オイラの顔を描いてくれたのは木下勇治さん。展覧会では、表通りに面したストライプハウスギャラリーのウインドウから真っ先に目に入る「看板」は、来場者や通行人へのアイキャッチという重要な役割を担うアイコンだ。しかも、この絵は他のアーティストが手がけるトリックアートでも一役買うからね。

 作品では、「目力の強さと口もとのクロッチらしさを見てほしい」と語る木下さん、顔の輪郭線にはこだわった。人にはなつかない、のら猫の矜持がモチーフとしての魅力だという。

 子どものころから絵が大好きで、マンガ家のアシスタントを務めた経験を持つ木下さんだけど、はじめて描く大きな絵の構図や色合いのバランスには苦労したという。単純なオイラの顔が、インパクトがありながらも趣き深い「肖像画」に仕上がった。アクリル絵の具で描いた絵を囲むお手製の木枠は、江戸っ子クロッチの「和」の雰囲気を出すために、自ら黒く染めあげた。


「仕事は生きがい」という木下さんは感覚を磨くために作家の個展を見に行く。仕事は常に時間との戦いで、すでに道具の発注、材料の準備段階から経験値がものをいう。先輩方の「凄い!」仕事ぶりにあこがれる木下さんは入社5年目。ひとつの物件を最初から最後までまかされるようになった。そこでは、後輩たちの指導をしながら物件を仕上げていく。チームワークを大切にしながら、将来は後輩たちにちゃんと仕事を教えられる先輩になりたいと語る。


「自分では、引っ込み思案なところがあるから親方には向いていないかも……」と思っていたが、ある時、先輩から「木下は木下らしい親方をめざせ」と言われたことを心にとめて仕事に向き合う毎日だ。


最後に、自分を動物に例えると?と尋ねてみた。


いつも白と黒の洋服を着ているので、友人からペンギンと言われる木下さんだが、「自分では猫に似ている」と言う。気ままに時間に流されずに生きる猫。静かにさりげなく、いつのまにか周囲を和やかな気で包んでいく。そんな猫だ、と感じたよ。






ラッキーワイドの造形作家たち2 ★ 佐藤愛子さん
2016年5月25日


「見る。というより、どんどん触ってほしいです」

 作品の見どころを尋ねると、こんな答えが返ってきた。佐藤愛子さんの作品は、ズバリ、「肉球」だ。しっとり吸いつくその感触は子猫の肉球そのもの。 


 作品では、猫好きだけでなく、さまざまな人を引きつける「やわらかな弾力」と「かわいい色」を追求した。素材選びでは苦労したが、最終的に、柔らかすぎず固すぎないラテックス(ゴム手袋の素材)を使用した。




 オイラが驚いたのは、佐藤さんが作品に使用する材料を独自に作りあげていたことだ。まず、透明の液状のラテックスに色を混ぜ、肉球のピンク色を調合する。そのピンク色の液をエアガンで何度も吹きつけて作りあげた薄いシートが肉球の材料となったのだ。今、巷には無数の材料や素材がある。でも、イメージにあうものがない時には、妥協せずにオリジナルの材料を自ら作る努力と手間を惜しまない。今回の作品で、はじめて自分ひとりで素材も形も考えた。先輩たちには「凄い!」と感心することばかりだというが、すでに佐藤さんの中にも「職人魂」が確実に育まれていると感じたよ。

 

 幼い頃から「こねくりまわすこと」が好きだった佐藤さんは高校、大学とも彫刻を専攻した根っからの彫刻女子だ。入社当時は、一定の時間でこなせる仕事量が全くわからなかった。入社3年目の今、「自分の能力がわかってきたことがつらい」。「時間に追われ、あせる気持ちが仕事に反映することもつらい」と語る。だからこそ、自分が担当したパーツが完成した時、美術館やテーマパークに作品が展示されたのを見た時、喜びはひとしおだ。


 入社まもなく、エアガンで塗装の訓練をした。使い方の加減を先輩方に質問すると「慣れてね」との答え。2年目にして先輩の言葉に納得する。「どんどん失敗して慣れるしかない」と。そして3年目、エアガンを使って独自の作品を完成させた。


 最後に、自分を動物に例えると? と尋ねたら、「猫です」「飽きっぽくて気まぐれだから」。と言いつつも、「いったん仕事となれば集中して向き合います」と佐藤さん。狩りの時には全身全霊で集中する猫!だね。






のら猫クロッチと目が合って2 ★ 辰巳渚&鈴木万由香さん
2016年5月25日

【のら猫クロッチと目があって ★ 同行二人】

第二回  辰巳渚さん × 鈴木万由香さん 

NOLA(「日本のふつうの暮らし協会」創立メンバー)


辰巳渚さん 日々の営みにこそ、伝えたい「日本の良さ」がある。
鈴木万由香さん 着物を日常に着ることで「伝えられること」がある。  

 辰巳渚さん(写真左)と鈴木万由香(写真右)さん、浅草の町おこしイベントでご縁ができた。姐さんたちの「江戸っ子の心意気」にすっかり惚れ込んじまったオイラ、文筆家の渚さんとクロッチ川柳がコラボした「辻占」を作り始めている。ナレーターの万由香さんとは「クロッチ物語」の朗読劇シリーズを作成中だ。


 そして今、渚さんと万由香さんが中心となって「NOLA」の活動がはじまった。NOLA(ノラ)とは「日本のふつうの暮らし協会」(Nippon Ordinary Life Association)のこと。 ここは「ノラ」つながりのよしみでオイラも一肌脱ぎたいところ。さっそく姐さんたちに「NOLAでどんなことをするのか」を聞いてみた。



渚さん 「日々の営みにこそ、伝えたい「日本の良さ」がある。」


「日本のふつうの暮らしって、いいものがたくさんあるよね!ということを、自分たちも確認したいし、人にも伝えていって仲間をふやしていきたい」と、NOLA設立の主旨を語る渚さん、「家のコトは生きるコト」を合い言葉に、長年、「家事塾」を主宰してきた。家事塾とは、日々の暮らしをみんなで考えたり教えあったりする場だ。「なにか毎日がうまくいってない」と感じている人たちが多いという。それでは、「今日もこれでよかったなあ」と思えるにはどうしたらいいのか?


「『日本の良さ』を考える時、歌舞伎、お能、茶道、華道、京都、つまり伝統文化や古都といったメインストリームがある。その一方で、華やかなものの陰に隠れていて、だれも気にとめないようなあたりまえの日常の営みがある。実はそういう日常の中にこそ、自分のささえになり、人に伝えていく価値のあるものがある」と渚さんは考えていた。


渚さんとクロッチ

万由香さん 「着物を日常に着ることで「伝えられること」がある。」

 幼いころから、植物で作る化粧水や漢方薬がいつも身近にあったという万由香さん。「植物の力」に救われてきた自らの体験と試行錯誤を重ねて得た薬草の知識をもとに、自ら主催している「うずまき堂」で手作り石鹸教室を開いている。

食べるもの、着るもの、暮らし方、そしてアート、もともと日本的なものが好きだったが、次第に、「日常」つまり「ふつうの暮らし」が大切だと思うようになった。「たとえば、着物を晴れ着としてではなく、日常に着ることもひとつの表現であり社会活動になるのでは? 少し大げさかもしれませんけど」。と微笑む万由香さん。

 「人は慣れ親しんだものに共感を覚えるわけで、母や祖母、街でゆきかう人の着物姿を見た子どもはいつか自分も着物を着てみようと思うかもしれません」 とはいうものの、「なにがしの行事に着物で参加しました。などと事細かに発信していくのではなく、もっと『日本の良さ』の根っこの部分を伝えていきたい」と思っていたが、「では、なにをどうしたらいいのだろう?」と、もどかしい思いを抱えていた時に出会ったのが渚さんだった。同じ問題意識を抱えていた二人はすぐに意気投合。間もなく「NOLA」を設立し、活動をはじめた。

渚さん 「懐古趣味ではなく、暮らしの根底にあるものを伝えていきたい!」


高度成長期に生まれ地元を離れ大都市の郊外で成長した渚さんは、「自分の中にストックがない第一世代だ」と思っている。自分もそうだったように、まわりからは「どう生きていいかわからない」。「何が幸せかわからなくて苦しい」。という声が聞こえてくる。だからこそ、「自分を楽にしてくれるもの、」を伝えていきたいという。それは、あいさつ、であったり、洗濯、掃除、料理であったり、お正月やお盆のような行事であったり。そう、それは「家のコト」、つまり「暮らしの根底」にあるものだ。「それは日々、親子や地域の人々のあいだで、共にやっていくことなんですよね」。と渚さん。

猫の手でよけりゃあ、いつでも貸すよ!


万由香さん 「自分が挨拶をしよう! 自分が着物を着よう! まずは自分が実践!」

明治生まれの祖母に、幼いころから着物のたたみ方や茶道の手ほどきをうける一方で、インターナショナルスクールに通っていた万由香さん、葛藤と反抗の青春時代を経て、ある時ふと気がついた。「日本人だから『和』ではない。ハーモニーが『和』なのだ」と。すると、それまでイヤだと思っていた、「脈々と受け継がれているもの」をすんなり受け入れられたという。「これからは、自ら行動し発信していこう!」と万由香さん、オイラは何を発信しようかな。


万由香さんとクロッチ


最後に

「自分を動物に例えると?」と尋ねると、考えあぐねた末に、「フラミンゴ」と答えた渚さん。高校時代、フラミンゴ役を演じた経験からというが、たしかに……

万由香さん曰く「わたしは犬、雑種のね」。理由は「猫ほどカッコ良く孤独に生きられない。自由にあこがれながら同じ道を歩いているから」だって……


渚さんと万由香さん、さあ、花の浅草からどんなことを発信していくのか、乞うご期待!



プロフィール】

NOLANippon Ordinary Life Association

「日本のふつうの暮らし協会」

 日本のふつうの暮らしには持続可能な社会と暮らしの基盤となる普遍的な価値があるという理念のもと、日本のふつうの暮らしが絶滅危惧種であるという現状認識を広め、その価値を保全し次の世代に継承していく「価値の番人」として機能する事業を進めることを目的とする。


■辰巳 渚(たつみなぎさ)

文筆家。生活哲学家。「家のコトは生きるコト」をメッセージにして家事塾を主催。講座、セミナー、コンサルティングを行なっている。著書は多数。2015年にNOLAを設立。http://kajijuku.com


鈴木 万由香(すずきまゆこ)

ナレーター、ラジオのパーソナリティ。「自然の力をせっけんに」「和みを創りたい」をテーマに「うずまき堂」を主催、手作りの石鹸教室を開催している。NOLAの設立メンバー。http://www.uzumakido.jp


ラッキーワイド x のら猫クロッチ展
2016年5月11日


【ラッキーワイド x のら猫クロッチ展 ★ 開催まで、あと180日】

 世界的造形作家集団 ラッキーワイドとキャラクター界の異端児「のら猫クロッチ」とのコラボレーションが実現しました。

 
  
のら猫クロッチと目があったその日から【長嶺ヤス子さん】
2016年4月20日

のら猫クロッチは、日本人フラメンコダンサーの草分け長嶺ヤス子さんと出会ってしまいました。『立っているだけでフラメンコ』とスペイン人に言わしめる女傑です。
「馬鹿正直さを極めたようなその生き方」は、多くの人に勇気と生きる力を与えつづけています。御年80歳。背筋がピーンと伸びた現役の舞踏家です。
舞台の上、さらにはプライベートの姉御の魅力をお伝えしてまいります。
猪苗代の長嶺さん宅の玄関で挨拶しました。
「私の舞台を見た人は、翌日からスポーツを始める方が多いそうよ。でも続かないの」
これから、犬と散歩です。
「ねえクロッチ、私は私が一番大切なの。
人は私に指導者になればいいというんだけれど、私は私のために時間をつかいたいのね。
だから踊り続けられるの。これは私の生き方だからしょうがないの」


たくさんのお話をうかがいました。
約2時間の散歩を終えて、すっかり日は暮れました。



「チケットを買ってもらうことが、わたしを応援してくれることなの。
クロッチもわたしのチケットを売ってくれる?」

たった1日の公演のために、本場スペインを代表する凄いダンサーが『YASUKOのためなら』と来日します。
そして、1000枚近いチケットの大半は、長嶺ヤス子さんご自身の手でファンに届けられていくのです。


「私の舞台って最高でしょ。すっごくお金がかかるの。いつも大赤字よ」

客席はいつも満席。
でも、それ以上に予算をかけてしまうために毎回、数百万円の大赤字になってしまうそうです。

長嶺ヤス子さんは「絵」を描いて、販売して、その穴を埋めています。

(つづく)


ラッキーワイド x のら猫クロッチ展  11月に開催します
2016年4月18日

【ラッキーワイド x のら猫クロッチ展 ★ 開催まで、あと200日】
世界的造形作家集団 ラッキーワイドとキャラクター界の異端児「のら猫クロッチ」とのコラボレーションが実現しました。


のら猫クロッチが誕生してはや9年。義理人情にあつく江戸っ子かたぎのクロッチは、都会のとある住宅街のかたすみで、毎日を一生懸命、生きています。そして、「よのため ひとのため のらのため」を合い言葉に、いろいろな方々に助けられ、さまざまな活動をしてまいりました。ラッキーワイドのアーティストたちの作品展示とあわせて、世の中へクロッチを導いてくださっている、兄さん姉さんたちとの活動を紹介してまいります。
アーティストたちが、木、石、金属、FRP、樹脂、カーボンファイバーなど、さまざまな素材から生み出した「のら猫クロッチ」作品の数々。絵画、お面、立体像、ねぷた、時計、アクションフィギュア、プロジェクションマッピング、オブジェ、など、多彩に変貌をとげる「のら猫クロッチ」の新たな世界をご期待ください。
(by クロッチ倶楽部)

山田さんによるクロッチのお面(クロッチメン)
2016年4月7日

【クロッチ面(クロッチメン)】

クロッチの、カーボンのお面が出来上がりました。世界で一枚だけです。



【クロッチ面づくり】

年末、年始にかけて、ラッキーワイド×のら猫クロッチ展ミーティングを行いました。年末は会場のストライプハウスギャラリーで、年始はラッキーワイドさんで行いました。山田技術主任がさらに進行して頂いており、今回はクロッチのお面の試作品を仕上げて頂いてました。お面とは思えぬ精巧な作りです。



型を作って、塩化ビニールで形を出しておられました。


そこから着色するのですが、何枚も、また、型を作って塗る?ガンで吹く?かして、色を重ねておられました。それも短時間で。




【クロッチの素材バリエーションの研究】



【試作品】

【透明クロッチ】

【石クロッチ】


試作がまた、増えてきました。切削機を使ってメープルを削り、仕上げてコーティングすると、見る角度に
よって色が変わります。表面がフラットなのでクロッチに彫刻としてのアート性をつけるのは難しいと言ってましたが、素材の特性だけで意味付けし、そこから、また、違う意味がアイデアとして泉のように発想がわくのには、経験値が桁外れです。

【木彫クロッチ】

(編集:S.HATANAKA , IAN)

池袋保健所さんと「よのため ひとのため のらのため」
2016年4月7日

「人と猫とが共に幸せに暮らせる街づくり」をめざしている豊島区池袋保健所の地域猫活動を多くの人に知ってもらうために、のら猫クロッチも協力することになったんだ。


2種類のクリアファイルをつくって、「地域猫」「同行避難」をアピールしたよ。

◉お問い合わせ:
豊島区役所 池袋保健所生活衛生課 保健所
住所:〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目20−9
電話:03-3987-4175





豊島区池袋保健所さんとつくったクリアファイル(非売品)です。

(表面)はなくそほじくるクロッチ
「地域猫 住み良い街の バロメーター」

(裏面)地域猫に愛を。
地域猫=地域ぐるみでお世話をしているのら猫のこと。「不妊去勢手術・トイレの設置・清掃・エサやり」で、人も猫も快適なまちに。 




(表面)立ち上がるクロッチ
「猫の手を 貸す日のために 鍛えるぜ!」

(裏面)もしものときは同行避難
大切なのは日頃からの備えです。ペットの防災用品と、緊急時でもいい子でいられるようなしつけ。そして避難もいっしょに。 


3月19日〜21日と豊島区池袋保健所(東京都豊島区東池袋1丁目20−9)で開催されるイベント「池袋保健所 健康フェスタ」で配布するクリアファイルです。地域猫活動をされている「東京キャッツアイ」のブースでクイズに答えるともらえるんだよ。

「東京キャッツアイ」さんの活動をみんなで応援しよう!
ご来場お待ちしております!

◉NPO法人東京キャッツアイ
http://ameblo.jp/tokyo-catseye/



(編集:IAN)
のら猫クロッチと目があって1 ★ 吉澤広寿さん
2016年4月5日

【のら猫クロッチと目があって ★ 同行二人】

第一回  吉澤広寿さん 

株式会社ラッキーワイド 代表取締役/彫刻家


クロッチ 「おいら、3次元になっちゃった!」
吉澤社長 「クロッチ、いっしょに歴史を創ろうな!」
 世界的造形作家集団ラッキーワイドを率いる吉澤さんと、オイラ、クロッチとの出会いは東日本大震災が起きた2011年にさかのぼる。それまでは紙面の中でうごめいていたイラストのオイラが、雑誌「孫の力」の連載企画を機に、吉澤さんのところで、リアルな体を創っていただき、新たな命を吹き込まれて3次元の世界に飛び出した。これまでに、ラッキーワイドで作成していただいたオイラのフィギュア(立体)は、すでに5体にもなるんだ。
 そして、吉澤さんは今年11月、企画展「ラッキーワイド× のら猫クロッチ展」(六本木のストライプハウスギャラリー)の開催を決断した。

■十数人の造形作家による大プロジェクト
  
 「『わたしの一生の宝物ができた!』、展覧会を見にきた人たちが、こう言ってくれる作品を作る義務が、わたしたちにはあるんです!」
 「その『一生の宝物』を、まわりの人たち、これからつながっていく全ての人たちに渡し続けていきたいのです」と語る吉澤さん。今回の企画展は、ラッキーワイドの十数人もの造形作家たちが、オイラの作品造りにかかわるという大プロジェクトだ。そんな中、今、オイラの存在が作家たちそれぞれの中で、一人歩きをはじめているらしい。
「これはね、クロッチの作品を造るひとりひとりの社員の中で、クロッチの歴史を創っているということなんです。この先どのように展開していくかはわからない。でも、だからこそ思いもかけないような夢ができてくる。それが最高なんです。」と吉澤さんは力をこめる。「本当の意味で歩き始めたいから」。吉澤さんは「ラッキーワイド × のら猫クロッチ展」を開催するという。
 
■人に夢を与える仕事への誇り
 「『人に夢を与える仕事をしている』という誇りを、スタッフみんなが持っている。だからこそ、わたしたちの作品は見た人に共感してもらえるのだと思う」。そう語る吉澤さんは、常日ごろから「善権」ということを、とりわけ大切にしている。
 「心の奥底に仏の心を持ち、人に感謝する気持ちを持つこと」に努めているのだ。困難や想定外の事態に遭遇しても、「ありがとうございます」と唱えれば、瞬時に心は落ちつき、迷いはなくなるという。
 
■生死の境をさまよった体験への感謝
 
 これまでの人生、吉澤さんは数えきれないくらい「のら体験」をし、修羅場をくぐり抜けてきた。トラブルや事故への対応、経営、資金繰りに加えての実務の実行、そんな激務が何年も続いて、ある時、クモ膜下出血に倒れてしまった。しかし、生死の境をさまよったその体験に、今はとても感謝しているという。この体験を通して、今は「静的な緊張感」を持って生きることができるようになったからだ。今、トラブルや思わぬアクシデントを防ぐ、気配りや気持ちの張りを持つことの大切さを、実感しているのだ。
 これまで、生きていて最高だったことは、「鍛錬をし続けてこれたこと」だという。今も毎日、鍛錬をし続ける生活を送ることができているから、吉澤さんは現在進行形で日々、最高なことに出会っている。一年間365日、おちこんだり、めげたりして、終わる日は1日もない。駅伝のたすきのように、必ずベストを尽くして次の日につなげるのである。
■世界の道標を創造し、歴史を創っている
 さて、幼い頃から猫、犬、ウサギ、鶏などのたくさんの動物たちに囲まれて育った吉澤さん、かわいがっていた猫が亡くなった時、中学3年生から高校1年生にかけて、その猫の木彫を作りあげた。吉澤さんと彫刻との出会いだ。そして、オイラ、のら猫クロッチ。猫にはとことん縁があるらしい。自らも彫刻家である吉澤さんは「わたしの最大の武器は『ものごと』を創造している会社の事業主であることだ」と語る。
 「わたしたちは今まさに世界の道標を創造し、歴史を創っている」。吉澤さんの仕事への姿勢と人生観は、ラッキーワイドの若いスタッフたちにも確実に受け継がれているようだ。
 「わたしたちの仕事を通して、立場も状況も違う全ての人たちが、夢を持てるようになってほしい」
 こんなすばらしいビジョンを持つ吉澤さんとラッキーワイドの作家のみなさんに、この世に生み出してもらえるオイラは本当に幸せ者だ。ひとりでも多くの人たちに作品を見にきてほしいなと思う。
 
■自分を動物に例えるなら
 ところで、若いころはやたらと元気が良かったいう吉澤さん! 相撲、空手を極め、「クレイジーブルドッグ」というリングネームでプロレス同好会で活動をしていたというから驚いた。
 最後に「自分を動物にたとえるなら?」 と尋ねたら、意外にも「羊」。との答えが返ってきた。 だけど、その後、「あえていうと」と続けた吉澤さんは、「凶暴な羊です」。と微笑んだんだ。


KROCCHI No.1 作品名「家もなく 身寄りもないが 明日がある」

(編集:KIMIKO TSUTSUI)

■吉澤広寿(よしざわひろひさ)
 日本とフランスの代表的彫刻家に師事をし、その後、株式会社ラッキーワイドを設立。完成度と芸術性の高い仕事で、世界中から依頼が殺到している。
ラッキーワイドの造形作家たち1 ★ 山田親広さん
2016年4月5日


クロッチ作品を創る造形作家を紹介するこのコーナー、トップバッターは「ラッキーワイド × のら猫クロッチ展」の芸術監督を務める、山田親広さん!


山田親広(やまだちかひろ)さん。この道25年の大ベテラン。職人としての高度な技術と飽くなきチャレンジ精神を兼ね備えた山田親広さん。展覧会に向けて、子どもから大人までが楽しめるクロッチのお面と、それぞれ素材の異なる5体のクロッチ立体像を制作する。

 
■方法を試し、素材に挑戦する
 「最初、何もない状態からはじめて、フルハンドメイドで完成させる」造形の仕事は、工業製品と真逆の世界だという。「革命的なことでなくていい。日々のちょっとした前進でいいんですよね。それは後々、大きな変化につながるんです」。
 造形物を制作するうえで、いろいろな方法を試すのが大好きだという山田さんは、やり方だけではなくさまざまな素材にも挑戦してきた。だから当然、失敗もする。「でもね、失敗すらからたくさん学べるんですよ」とうれしそうだ。
■山田さんの作品のみどころは?
 職人の高度な技術と、造形作家として新しいことへの飽くなきチャレンジ精神を兼ね備えた山田さん。「クロッチの作品では、造形屋ならではの多種多様な造りを見て欲しい」と語気を強めた。特にこだわるのは、キャラクターとしての「クロッチらしさ」と素材とのマッチングバランスだという。
 「オイラの睨んでいる目が魅力」と語る山田さんは、「美術品」として素材が一目でわかるようなものを創るつもりだ。プラスチックに留まらず、木、石、箔、クリアーレジン、エポキシ樹脂を使用する。
 実は、すでにさまざまな素材の「クロッチのお面」が完成している。作品で苦労した点を尋ねると、「アナログの手作業と、デジタルなCAD 両方で制作しているため、業務のスケジュール調整が難しかった」との、意外な答えが帰ってきたんだ。でも、とりわけ苦労したのは、カーボンファイバーのお面。最初は、
表面が星の数ほどの気泡だらけになってしまったらしい。
 素材の扱いはもちろんのこと、造形物の制作にはいくつもの工程をふまねばならない。まず原型を造り、それを型取りした後に、成形の作業をし、仕上げになる。そして最後に「調整」をして完成となる、とのこと。この制作過程は、今後、オイラのblog やfacebookで公開していくけれど、11月の展覧会場でも制作過程の動画を上映することになっているよ。
 幼いころから、外では遊ばずに家の中で絵を描いたり粘土をいじってばかりいたという山田さん、さまざまな職種を経験した後に、立体看板(店舗の入り口にディスプレイしてある怪獣などのこと)の仕事を手がけたことが、「立体をやっていこう!」と決心する大きな転機となった。その会社では、山田さんは、入社したての若年にもかかわらず、高い技術力と豊富な経験をかわれて、いきなり30メートルもある恐竜の滑り台の現場監督をまかされたという。その後に、スチロールで立体を作っている会社を捜していて就職したのがラッキーワイドだ。
■全ては「伝え方」から始まる
 山田さんにとって仕事とは、「世の中と共存し生きること」。ラッキーワイドには、30人以上もの幅広い年代のスタッフがいる。常に、限られた時間と予算の中で高い完成度を求められる状況下では、たったひとつの小さな伝達ミスが、取り返しのつかない失敗につながる、という苦い体験を何度もしてきた山田さん。注文主に納品にいったけれど、「イメージと違う」といわれ、そのまま作品を工場に運び帰り、徹夜で直したことも数えきれないそう……。無事に納品するまでは家には帰れないんだ。大変だね。
 「全ては『伝え方』から始まり、『伝え方』次第で相手の行動が変わる」。大勢のスタッフに指示をするポジションの山田さん。「近頃の若い人たちは計画性があり協調性もある。だから集団行動に対して強い。 年前はもっと作家のような人が多かった」とふり返る。そんな山田さん自身は、たくさんの「無謀なこと」をしてきた。四半世紀にわたって「造形」と格闘してきた作家であり、この業界の厳しさを知りつくした職人の山田さん、後輩たちをやさしく見守る先輩の顔ものぞかせてもらった。
■自分を動物に例えたら?
 最後に、自分を動物に例えるなら? という質問をしてみた。すると、「フクロウかミミズク!」とスタッフたちが口をそろえたんだって。
 今は、お面の制作は終了し、素材のそれぞれ異なるオイラの立体像にとりかかっている。この仕事をしていなかったら、料理人になっていたという山田さん、一筋縄ではいかない素材をどのように調理してくれるんだろう…… 本当に楽しみだよ!

(編集:KIMIKO TSUTSUI)

■山田親広(やまだちかひろ)
 造形作家。株式会社ラッキーワイドの管理職、技術主任として30名以上の若手造形作家たちをまとめている。