「孫は あなたと 日本の 未来です」
2011年7月25日に創刊した隔月誌「孫の力」(発行元:木楽舎)で、のら猫クロッチは「幸せ運ぶメッセンジャー」役として、創刊号〜14号まで紙面上のみならず、さまざまなイベントで活躍できる機会をいただきました。
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隔月誌「孫の力」の休刊のご案内とバックナンバーをご案内いたします。
http://www.magonochikara.com
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「クロッチ物語」「クロッチ川柳」を連載。「クロッチと同行二人」企画では「あしたのジョー」の漫画家ちばてつや先生を取材しました。そのとき、ちば先生から「クロッチはのら猫なんだから、ちゃんと『のら猫』をアピールしないと、生き方が伝わらないじゃないか」と指摘され、その日以来「のら猫クロッチ」を名乗るようになりました。
人と人、人と社会を縁結ぶ「〆キャラ」という言葉もこの雑誌での活動をとおして生まれました。「孫の力」にクロッチは育てられたのです。
「孫の力」。本当にありがとう。
世界初の「孫」の雑誌を5年間に30冊発行しつづけた出版社「木楽舎」のクリエイティビティとチャレンジグ精神はさらに凄いことをするに違いありません。みなさま、どうぞご期待ください。
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【クロッチ作品を創るラッキーワイドの造形作家たち。4】
宿命のライバル、カラスのゴンゾの対決シーン
「獣医か競走馬の厩務員になっていましたね、この仕事をしていなければ」
そう語るのは、入社17 年目のベテラン、清水守正さん。
幼いころ、家ではオウム、犬、猫、馬などを飼っていて、保育園にもヤギやウサギがいた。そんな動物パラダイスで成長し、現在も14羽のインコ、5羽のウサギやミドリガメと共に暮らしている。こんな清水さんが手がけているのは、オイラ、クロッチと宿命のライバル、カラスのゴンゾの対決シーンだ。板塀の屋根の上でのにらみあい。その臨場感に圧倒される。いつも身近に鳥を観察しているからこんな作品が生み出せるのかな。
「クロッチの顔のおむすび型が造形的におもしろいね!」「べらんめえの言葉使いや、一見、やさぐれた雰囲気も気にいっている」という清水さん。
「一歩引いて、立ち去る」。そんなクロッチの「フーテンの寅さん」的な世界観を表現しようと、なんともなつかしい昭和の街角を出現させた。錆びついたトタン屋根と古びた板塀。このようにふだん見慣れているなんの変哲もないものを、かっこ良く見せようするとどこか作り物感がでてしまうという。そこを「いかに自然に見せるか」が技の見せどころ。木の板に見えるが、実は塀の表面は薄い発砲スチロール板。プラスチック製の透明トタンは金属風に塗装し、さらにサビ加工を施した。刷毛で何度も塗り重ねて埃まみれの風合いを表現する。驚いたことに、清水さんは参考写真など何も見ないで、頭の中のイメージだけで全てを作っているんだ。
でも、オイラの造形はそう簡単ではないという。アニメ風な完成度をつきつめると、原画の水彩画の良さをそこねてしまう。立体制作では感覚的なものがかなり要求されるのだ。
オイラとゴンゾの制作では、最初に手とヘラを使い、粘土状のパテで小さい模型を作る。その模型の写真を拡大してスチロールのブロックに貼り付け、正面と横からアウトラインをカットする。小さい模型を見ながら感覚だけをたよりに包丁で削っていくこの作業では、経験と慣れがものをいう。ここが最も神経を集中する工程だ。ある程度の形ができるまでは緊張の連続とのこと。でも、それをすぎると「この仕事をしていてよかったなあ」と感じ、その後の仕事がとても楽しくなるという。これから取りかかる着彩では、塗装スプレーと刷毛などでニュアンスをつけながら、クロッチの黒い毛とゴンゾの黒い羽根の色の差別化をしていく。
「とにかく手を動かすことが好き!作りたくて仕方がない」という清水さんは、時々、好きな仕事で遊びながらお金をいただいていると感じる。とはいえ、そこは仕事、納期も含めシビアな制限がある。お客さんに喜んでもらえることを大切にしているが、自分の満足度とお客さんの要求するものが違った時はつらいらしい。
後輩たちや新人たちには「美術学校で学んだことをそのまま仕事に活かせるのは幸せなこと。だから自分は恵まれていると思ってほしい。しんどいこともあるだろうけれど、できるだけ仕事を続けてほしいですね」。と温かいエールを送る。
さらに、長年、造形に携わってきたひとりの造形職人としてこんなアドバイスを。「デジタルは道具としてはすばらしいけれど、それがすべてではないです。ゼロから手で作ることを忘れない方がいいのかな」。そこでニッコリした清水さん、「停電しても作れるからね」。う~ん、なるほど。
「立体オタク」で粘土や彫塑が得意。「足していく作業」が好きだという清水さんが親しみを感じるのは、粘土、木、石、などの自然素材だ。自然の色に近づくものをどうやって作りだそうか?と日々、思いをめぐらし工夫を重ねている。
「でもね、自然のものにはかなわないです。猫の目やインコの羽根の色の美しさにはね……」。こんな風に言ってもらって、オイラ、ちょいと照れくさかった。
最後に「自分を動物にたとえると?」と尋ねると「セキセイインコかな」と即答した清水さん!理由は「よく動き、よくしゃべる」からだそう。職場に欠かせないムードメーカーの一面をみたよ。
いってきました、フィジー共和国!
到着したのは4月20日、30度を越えた蒸暑い日だった。
オイスカの増留さんに連れられてやってきた南太平洋の島で、オイラが最初に目にしたのは、今年2月に襲来した巨大サイクロンの大きな爪痕だった。南半球の観測史上最大級といわれるサイクロン、ウィンストンの被害はあまりに大きく、電柱は倒れたまま、全半壊の家屋のかたわらで、海外からの国際NGO、NPOのメンバーによる復興作業が行なわれていた。日本での研修を終えてフィジーへ帰国したばかりのオイスカのOB、ジョー氏の村では、たった一軒を残して全ての家屋が全半壊し、ジョー氏の家はほとんどなくなってしまったんだ。
フィジーで1992年から始まった「子供の森」計画(CFP:Children’s Forest Program)活動。フィジー国内で毎年2,000人以上子どもたちが参加し、これまで59もの学校で活動を行っているそうだ。オイラが行った学校では、小学校の高学年が参加して植林をした。授業の一環として、今回は自生樹木とグアバ、ジャックフルーツなどを植えたんだよ。その他にも子どもたちは自然のサイクルを理解するために、野菜の栽培方法も学ぶんだ。
この他にもオイスカでは、村の農林業開発、そして、マングローブ植林に力をいれている。フィジーではマングローブは自生しているため、わざわざ植林して増やしていくことの大切さが、住民にはわかりづらいという。実は、マングローブは海面上昇と海岸の浸食をくいとめていたり、山から流されてくる土砂を塞き止めているんだ。その大切さを、マングローブの苗を植えることを通して伝えようとしている。苗を植えるのは、子どもたちやオイスカの研修生、村人たちだ。この活動によって、今では住民たちのマングローブへ対する保全意識も高くなってきているそうだ。
ところで、フィジーでは近年、サンゴの白化が深刻な問題となっている。地球温暖化や開発による土砂の海水への流入などの原因により、光合成ができなくなったサンゴは死滅してしまう。そして、このサンゴの死滅が生態系に大きな影響を与える。まず魚がいなくなる。すると、他の生き物や動物もいなくなる。その結果、フィジーの人たちは漁ができなくなってしまう、というわけ。
そこでオイスカでは、サンゴ礁保全活動とサンゴを育てるプロジェクトを行なっている。
サンゴの成長しやすい環境をつくり、サンゴの定植活動をしているんだよ。
また、ホテル主催のエコツーリズムを開催し、サンゴ保全に対する理解を高めようという計画がある。参加者にはサンゴの定植体験をしてもらい、フィジーの現状、サンゴや海が脅かされている環境を知ってもらうそうだ。
のら猫、のら犬が自由気ままに人と共存しているフィジー。
オイラにはとても居心地がいいところだった。
今、サイクロンの被害を乗り越えようと頑張っているフィジーの人たち。
そして子どもたちが向けてくれた満面の笑顔、オイラ、忘れないよ!
フィジーの海のきれいなサンゴ礁を思いながら、オイラ、絵を描いた。
これは今年8月にオイスカのポストカードになるんだ。楽しみにしていてね!
またフィジーの子どもたちが考えたサンゴのキャラクターのお話が紙芝居になってるんだよ!
フィジーの環境問題をみんなも一緒に考えよう!
◉紙芝居ページリンク:http://animalconference.com/oisca/world/fiji/
【オイスカ「子供の森」計画の活動】
「子供の森」計画(CFP:Children’s Forest Program)の目的は、子どもたち自身が、学校の敷地や隣接地で苗木を植えて育てていく実践活動を通じて「自然を愛する心」「緑を大切にする気持ち」を養いながら、地球の緑化を進めていこうというプログラム。1991年にはじまったこの活動は、2015年3月末現在、35の国・地域の4,692の学校が参加するまでにその輪が広がっています。
【ちょいとお知らせ】
オイラ、オイスカ「子供の森」計画の応援団になったんだ。
ぬいぐるみとポストカードの売り上げの一部が「子供の森」計画の支援につながるよ。8月には、フィジー、ミャンマー、フィリピン、植林をするクロッチを描いたクロッチポストカードができあがる。
例えばフィジーのポストカードはこんな感じだよ。
7月3日(日)から9月4日(日)まで練馬区立美術館で開催されます。しりあがり寿さんの着眼点ってすごくユニーク。ヤカンが回転すれば現代美術。会場ではいろいろなものが回っています。「回転宣言」の一部をご紹介します。
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「回転宣言」
ヤカンが静かに回りだす
ゆっくりゆっくりくるりくるり
その姿はこのうえなく美しい
しかし回り出した瞬間、それはもう元のヤカンではない
水も汲めない、湯も沸かせない、ただ静かに存在感を放つだけの金属だ、
・・・・(中略)・・・
いまや直線的な歴史の放棄を迫らせた人類に
回転にこそ、その未来があるのだと覚醒を促す・・・
回れ回れ、回転に幸あれ!
2016年7月 しりあがり寿