本日より10月9日(月・祝)まで、川口市立アートギャラリー・アトリアで、造形集団"ラッキーワイドの職人たち"が製作した作品が展示されます。
昨年の「ラッキーワイド×のら猫クロッチ展」に感銘を受けた方、みのがした方もぜひご覧ください。
こっちの部屋では、おいらクロッチの彫刻を展示しています。
作品搬入後の様子。
ご来場、お待ちしております!
「ラッキーワイド 造形の世界 2017」
展覧会期:9月26日(火)~10月9日(月祝)
場 所 :川口市立アートギャラリー・アトリア
時 間 : 10:00~18:00(最終日は16:00まで)
ラッキーワイドの社員たちが醸し出す、純度の高い様々な造形物を、皆様に是非、鑑賞し堪能して頂きたいです。
◉川口市立アートギャラリー・アトリア公式サイト
http://www.atlia.jp/rental/future.html
別の部屋では、あのマシーネンクリガー「スノーマン」を展示しています。
リアリティがすごいです!
ここが川口市立アートギャラリー・アトリアだよ!
http://www.atlia.jp/index.html
「ラッキーワイド×のら猫クロッチ展」
2016年11月7日 – 13日
場所:六本木ストライプスペース
【主催】
株式会社ラッキーワイド
株式会社ヌールエデザイン総合研究所
ハタナカマネジメントオフィス
== 地下 ==
【お祭り野郎!】
作品24 ねぷたクロッチ(助六) 作:諸橋司
作品25 クロッチ面 作:山田親広
作品26 サイボーグ0096 作:國塚慶太
【よのため ひとのため のらのため】
作品27 児童労働のない未来へインドの子どもたちによる
「わたしだけのクロッチ展」 企画:Krocchi x ACE
【同行二人】
作品28 PJCクロッチエンブレース 作:大西和子
作品29a Krocchi x OISCA「子供の森」計画(ミャンマーへゆく)
作品29b Krocchi x OISCA「子供の森」計画(フィジーへゆく)
【メイキング】
作品30 真打登場 作:岡谷侑紀 柿沼良
作品31 ラッキーワイドの立体造形 メイキング映像(30分)
監督:鎌仲ひとみ 撮影:ぶんぶんフィルムズ
出演:山田親広(美術監督)、清水守正、岡谷侑紀、村井理恵子、吉澤寿広(ラッキーワイド代表)
【ラッキーワイドのクリエイターによる作品】
作品32 恐竜 作:清水守正
作品33 マシーネンクリーガー〔1:1 スノウマン〕
原作:横山宏 制作:山田親広
【野良猫と野良人】
作品34 宇宙 作:長嶺ヤス子
【のら猫クロッチ 縁起】
作品35 ソーシャルアクション 作:イアン
着ぐるみクロッチ 参上
オイスカのみなさま、着ぐるみクロッチ、お疲れさま!ラッキーワイド x のら猫クロッチ展の関係者のみなさま、六本木ストライプスペースのみなさま、お世話になりました!
(おわり)
「ラッキーワイド×のら猫クロッチ展」
2016年11月7日 – 13日
場所:六本木ストライプスペース
【主催】
株式会社ラッキーワイド
株式会社ヌールエデザイン総合研究所
ハタナカマネジメントオフィス
作品1 Touch me!(さわって) 作:佐藤愛子
== 1F ==
【クロッチ誕生】
作品2 クロッチの肖像 作:かりにゃん
作品3 お友だち
作品4 逢魔が刻に 作:村井理恵子
【縁起(えんおこし)】
作品5 禅 作:山田親広
作品6 野良でよかった 作:山田親広
作品7 先駆け、縁起 作:山田親広
作品8 はばかりながら… 作:山田親広
作品9 哀歌 作:山田親広
【歌舞くぜ!】
作品10 〆キャラ 作:木下勇治
作品11a 夜回りクロッチ 作:木村郁也
作品11b ロゴタイプ 作:木村郁也
【ドミネコ通りにて】
作品12 腹時計 作:岩永愛
作品13 対決カラスのゴンゾ 作:清水守正
作品14a 涙目ジョヴァンニ 作:かりにゃん
作品14b 涙目ジョヴァンニ 作:清水守正
【野良猫】
作品15 のら猫クロッチ
【野に良く生きる猫】
作品16 人招きクロッチ 作:山本知弘
作品17 福招きクロッチ 作:山本知弘
作品19 猫じゃらしクロッチ 作:新井智之
作品20 お絵描きクロッチ 作:新井智之
作品21 花占いクロッチ 作:新井智之
【のら猫クロッチ物語】
作品22 クロッチ川柳 作:かりにゃん
作品23 ラジオドラマ風「のら猫クロッチ物語」 作:かりにゃん 朗読:鈴木万由香
(後半につづく)
「ラッキーワイド×のら猫クロッチ展」
(11月7日 – 13日 場所:六本木ストライプスペース)
【主催】
株式会社ラッキーワイド
株式会社ヌールエデザイン総合研究所
ハタナカマネジメントオフィス
2フロアで、12テーマ、全33作品を展示しました。
1Fでは、現代アート作品(新作)を中心に。
地下1階では「のら猫クロッチの多様性」
を表現していました。
== 1F:現代アート フロア ==
【クロッチ誕生】
1 肉球 さわって 作:佐藤愛子
2 クロッチの肖像 作:かりにゃん
3 逢魔が刻に 作:村井理恵子
【縁起(えんおこし)】
4 はばかりながら… 作:山田親広
5 先駆け、縁起 作:山田親広
6 哀歌 作:山田親広
7 禅 作:山田親広
8 野良でよかった 作:山田親広
【歌舞くぜ!】
9 〆キャラ 作:木下勇治
10 夜回り 作:木村郁也
【ドミネコ通りにて】
11 腹時計 作:岩永愛
12 対決 カラスのゴンゾ 作:清水守正
13 涙目ジョバンニ 作:清水守正
【野に良く生きる猫】
14 人招き 作:山本知弘
15 福招き 作:山本知弘
16 猫じゃらしクロッチ 作:新井智之
17 花占いクロッチ 作:新井智之
18 お絵描きクロッチ 作:新井智之
【クロッチ物語】
19 ラジオドラマ風「クロッチ物語」
作:かりにゃん 朗読:鈴木万由香
20 クロッチ川柳 作:かりにゃん
== 地下:クロッチの多様性 ==
【お祭り野郎!】
21 ねぷたクロッチ(助六) 作:諸橋司
22 クロッチ面 作:山田親広
23 サイボーグ0096 作:国塚慶太
【よのため ひとのため のらのため】
23 児童労働のない未来へ
インドの子どもたちによる「わたしだけのクロッチ展」
企画:Krocchi x ACE
【同行二人(どうぎょうににん)】
24 PJC クロッチエンブレース 作:大西和子
25 のら猫クロッチと目が合って 作:筒井公子
26 Krocchi x OISCA「子供の森」計画
【ラッキーワイドのクリエイターによる作品】
27 マシーネンクリーガー〔スノーマン〕
原作:横山宏 制作:山田親広
28 恐竜 作:清水守正
【メイキング】
29 真打登場 作:岡谷侑紀、柿沼良
30 立体造形メイキング映像 監督:鎌仲ひとみ
撮影:ぶんぶんフィルムズ
【クロッチアクション】
31 縁起(えんおこし) 作:イアン
【野良猫と野良人 長嶺ヤス子と子どもたち】
33 宇宙 作:長嶺ヤス子
以上、全33作品。
【クロッチ作品を創るラッキーワイドの造形作家たち。12】
山田親広(やまだちかひろ)さん
この1年、美術監督の山田親広さんは、11人の造形作家たちと共に展覧会に向けての話し合いを重ね、ディレクションを行いつつ、自らは複数のクロッチの立体作品を完成させた。
さまざまな新素材に挑戦し、試行錯誤を重ねて完成させた立体像の数々。山田さんには、造形作家として自らの作品について、美術監督としては展覧会全体の見どころを語ってもらった。
「物づくりとは、人を喜ばせるための演出のひとつで、
人を喜ばせることを主体に考えると、創造力は湧いてきます」 と山田さん。
本当は、作品に手で触れてほしい
「触れられなければ立体である意味がない。僕の考えです」。きっぱりと言いきる山田さん。「指先で触れてみることで作品を身近なものにしてほしい」という。 山田さんは、クリヤレジン、金箔、黒御影石、銅で、5点の立体像を制作した。見どころは「さまざまな素材を使用したこと」と「特別な視点で選んだ素材が醸し出す、おもしろさと不思議さ」だと語る。
「走るクロッチ」像は、5点の立体像の中で唯一動きがある作品だ。「勢いと派手さ」がほしかったので「金箔」を選んだ。通常、金箔で貼ったものは素手では絶対に触ることができない。酸化してしまうからだ。ところが、この作品では、幾度も試験を重ね「手で触れることができるクリヤコーティング」に成功した。
困難きわまりなかった
一番苦労したのは、水のように透きとおった作品。素材にはクリヤレジンを使用したが、完全に透明にするために、空気の泡を抜かなければならず、しかも、シリコンの型作りの際には硬化速度のコントロールが難しかった。透明の「もの」を抜くためには、シリコン型もまた透明にしなければならない。最初、泡が抜けている状態を確認できないまま型抜きをしていたため、2回失敗し、3度目でなんとか完成にこぎつけた。
「時間との戦い」をくぐりぬけて
「銅」の重厚感がイメージ的にヒットしたのは「力んでいるオイラ」だ。抗酸化処理が施された、ドイツ製の新素材の銅粉と樹脂を使用した。「銅の作品」に取り組んだ夏場は硬化速度が早くなり、すぐに固まってしまうので、作業ができる時間はとても短い。塗る時間がないのだ。硬化速度を下げるために硬化剤の量を減らすと、今度は完全に硬化しない。厳密な温度管理のもと、「時間との戦い」をくぐりぬけて、作品を完成させた。
黒御影石で制作したのは2点の作品。スカーフや目などの黒以外のパーツにカラーサンドを使用し、全体を石のイメージにまとめあげた。この作品では石と樹脂のみを使用し、塗装はせずに材料の色を生かしている。
オイラが腰掛けているバケツは既製品を型取りして作ったそうだ。最初はFRPの型で試したが、カラーサンドが固くて柔軟性がないので型からはずせず、最終的にはシリコンで型取りをした。
今回、立体像すべての台座も山田さん自ら制作した。それぞれの作品の形を考えて台座の形をデザインしたという。台座表面のテクスチャーには味がある。「意図的でない形を脳はきれいだと認識する。波、雲など、自然に近い形状を美しいと感じるのかな」。そんなことを考えながらヘラを動かしていたそうだ。
作品造りにかけた1年間を振り返って
「のら猫クロッチというキャラクターと向き合い、自由に作品を制作する」ことに、スタッフたちは最初とまどった。「キャラクターで自社製品のアピールをし、おのおのの作風に合うものを作る」というこの企画に、最終的には26名の制作スタッフのうち、約半数がアイディアをだしてきた。全員が通常業務とのスケジュール調整に苦心しながら、「クロッチ作品」の制作時間を確保したそうだ。2〜3週間にわたるスタッフの集中した時間を確保するのが一苦労だった。「それでも1年間という時間をかけられたのがありがたかった」と山田さんは振り返る。
展覧会の見どころは
技術開発には毎日のように取り組んでいるスタッフたちだが、今回「クロッチ」を自由に制作したことは、表現やアイディア出しの訓練になり、自分たちでオリジナル商品を作り上げることへのいいシミュレーションになったそうだ。
「『創造する』ということを、わたしたちから発信していかなければもったいない。みんな、好きでこの仕事をしているのだから」。こう語る山田さんに、今回の展覧会全体の見どころを尋ねた。
「ラッキーワイドの造形屋としてのアイディアと作品の素材感をぜひ見て欲しいです」。
作品「先駆け、クロッチ」(金箔仕上げ)
作品「ZEN」(黒御影石仕上げ)
【プロフィール】
■山田親広(やまだちかひろ)
造形作家。株式会社ラッキーワイドの管理職、技術主任として30名以上の若手造形作家たちをまとめている。
【クロッチ作品を創る映像作家】
木村郁也(きむらふみや)さん
会場を夜回りするクロッチ。映像ディレクターが仕掛ける遊び。
このたびの展覧会、20時のギャラリー閉場後にもちょいと楽しめるしかけがある。「夜、動き出すクロッチ」を手がけるのは、フリーで活躍する、映像ディレクターでCGクリエイターの木村郁也さん。先に紹介した横内さんの友人だ。
「遊び心が見どころ」と語る木村さんの作品。夜、通りを歩いている人たちに、「あれっ?」と気づいて楽しんでもらいたいという。ギャラリー内に展示された、ある作品をスクリーンにみたて、映像を当てていくプロジェクションマッピング。見た目の怖さとは対照的な、オイラの性格や抱えている背景が魅力だと語ってくれた。
イラストレーターから映像の仕事に転向した木村さんは、実は人気VJ(visual jockey)としての顔も持っている。VJことヴィジュアルジョッキーとは、DJの映像ヴァージョンのこと。VJとDJとの相乗効果で会場は最高に盛り上がる。渋谷のクラブや、幕張メッセでのミュージックフェスティバル、サマーソニックなどの大きなステージで何万人もの聴衆を前にVJとして活躍する木村さん。「ライフワークとして取り組んできたVJの仕事が、最近、軌道にのってきた」。とうれしそう。大好きなVJの仕事と、映像やCGの仕事をバランスをとりながら取り組むうちに双方のレベルがあがってきたそう。
木村さんは自分の映像作品を残すことにはあまり興味がない。
「一回ぽっきりのショーの仕事が好き」と力強く語る。そのたった一度限りのステージに全身全霊をこめるのだ。何ヶ月も前から映像の準備をするのだが、本番1時間前の打ち合わせで、「こんなふうにやってほしい」なんて突然言われることも。でもそれさえも「ドキドキするぶん楽しいですね」だって。さすが!
「全体のショーとしてバッチリいいものを出せた時はビールがうまいですね」と微笑んだ。
この夏に父親になった木村さんは、もともと子どもが大好き。高校時代には、美術の道に進むか、保父さんになるか真剣に迷ったそう。
さて、自分を動物に例えると? 「自分ではわからない」。奥様いわく「大型犬」「吠えずにずっと寝ている年をとった犬」だそう。
今後はVJとして、「より大きなステージで、海外でやってみたい!」と語る木村さん。まもなく仕事で上海に飛ぶ。
【クロッチ作品を創るラッキーワイドの造形作家たち。10】
横内利彰(よこうちとしあき)さん
「神様だな……」先輩方の仕事ぶりを見てそう思う。
「立体を仕事にしたい」と、グラフィックデザインの世界から転向してきた入社2年目の横内利彰さん。パソコンの前に座り、パンフレットなどの制作をしていた前職と、「造形」の仕事とのあまりの違いに当惑した入社当時。まず、「体を動かして作ること」に苦戦したという。さらに、ここでは何人ものスタッフがチームを組み、ひとつの作品を作ることが多いため、その「チームプレイ」に慣れるのが大変だったそうだ。
幼いころはアニメの塗り絵に夢中になり、そのうち独自のキャラクターを描くようになる。長じては、自分の作品を立体におこしてみたくなり、初めて作ったフィギュアを先輩の誕生日に贈ったら、それが好評で「店に置かないか」と声がかかるようになった。そんなキャラクター一筋の人生を歩んできた横内さんは、デザイナーを辞めてしばらく作家活動に専念していた。
造形作家のタクジ(T9G)氏が創ったランジアスという怪獣の人形に大きな影響を受けた横内さん。ランジアスは見る方向によって顔が違う。それは平面では表現できない。「やはり立体はすごい!」と感動したのだ。自分も「角度によって見え方が違う立体を作りたい」と思い、実在しないオリジナルの生き物を創りあげる。生み出したキャラクターはすでに何十人にものぼる。ラッキーワイドでの仕事と平行して今後も作家活動を続けていきたいそうだ。
今回、会社で手がけている立体物と、映像やプロジェクションマッピングの組み合わせができたらおもしろいと思いついた。映像の仕事をしている友人に話をもちかけ、木下さん制作のクロッチの大きな絵と映像のコラボレーションが実現した。見た目の「怖さ」と中身のやさしさのギャップがオイラの魅力だといってくれる横内さん、いつかオイラのフィギュアも作ってくれるかな。
仕事で不安を感じた時には、その気持ちを先輩方に正直に伝えるという横内さん。「いつも震えていますけどマイペースです」と気負いはない。だから、自分を動物に例えるなら、チワワかナマケモノだと語る。同期入社7名のうち、横内さん以外はすべて女性。「女性のほうが強いなと思います」。と涼しげに語る姿に、「柔能く剛を制す」、この言葉がよぎったよ。
【参考:横内利彰さんの作品】
【クロッチ作品を創るラッキーワイドの造形作家たち。9】
柿沼良(かきぬまりょう)さん
「制作工程展示」の作品を岡谷さんと共に創る
子どものころから手を動かすことが好きで、学生時代にはインテリアデザインを専攻した。今年で入社7年目となるが、この仕事をしていなかったら、「プロダクトデザイナー」。または「すごく甘いものが好きなのでケーキ屋さんになっていたかも」と語る。家でケーキを焼くこともあるという。
「作っていく過程そのものが好き」と語る柿沼さん。
最初はクロッチ単体のシンプルなものをと考えていたが、岡谷さんと話が盛りあがり、噺家クロッチを作ることになった。
柿沼さんが担当するのはパソコンでのデータ作成だ。岡谷さんが手作業で作った立体像を、柿沼さんが3Dスキャンをし、サイズを縮小して3Dプリンターで出力する。さらに、撮りためている制作工程の写真に解説を書き添えたパネルを作るのだ。
パソコン上の操作では、実際に「もの」に触らなくても、手を動かすのと同じ感覚で造形作業ができるという柿沼さん。どちらかというと手作業が好きだけれど、パソコンの操作でも「作業」という点ではそれほど差はないと感じている。う〜ん、そういうものなんだ……。
ところで、オイラは作りやすい形だそうだ。人に近い形なのでポーズも取らせやすいのだ。とはいえ、キャラクターは顔の表現が難しい。たしかに、顔が命!だからこそ、顔の制作にはとりわけ集中して取り組みたいという。オイラは首にスカーフをまいているので、首と胴を分割して、頭部の造形に集中できる。それがやりやすいそうだ。「作りやすい形」ってあるんだね。
「いいものを作りたい」「前よりも早い時間で作るようになりたい」。といつも考えている柿沼さんは、最初に頭の中でシミュレーションして、実際に作りあげるところまでイメージする。一番うれしい時とは、最初にシミュレーションしたとおりに完成した時だ。実際にはイメージのようにはいかず途中で路線変更することもしばしばあるらしいから。
自分を動物に例えると? との問いには、わからないからと同僚に聞いてみてくれた。まわりからは「犬」、または「キツネ」といわれたらしい。そういわれれば……。
最後に、柿沼さんから、展覧会に足を運んでくれるみなさんへのメッセージをもらった。
「みなさんは製品として完成しているものを見ることは多くても、作られていく工程を見ることはなかなかないでしょう。ですから、みなさんには工程を見て楽しんでいただきたいです。そして、ラッキーワイドという会社を知ってほしいです」
【クロッチ作品を創るラッキーワイドの造形作家たち。8】
岡谷侑紀(おかやゆうき)さん
高座にあがってちょいと一席! 羽織姿が粋だねぇ
「噺家クロッチ」は展覧会で重要な役どころをおおせつかっている。この立体作品ができるまでの工程が一目でわかるように、粘土の原形、スチロール、石膏取り、そしてFRPの完成像、さらにそれを3Dプリンターで出力したものまでが時系列で展示される。こんなふうに立体造形物の制作工程が見られるチャンスなんてそうそうあるもんじゃあない。
「思いを込めてクロッチを作っている」と語るのは岡谷侑紀さん。
「見る人がクロッチを好きになってほしい!」と願いながら作品に取り組んでいる。
高校時代の友人が仕事をしていたことがきっかけでラッキーワイドに入社してから6年目。「チマチマやるよりはガツガツやるほうが好き」という岡谷さんは、細かいことは嫌いではないけれど、そればかりが続くとムズムズしてくる、らしい。ものづくりが大好きで、学生時代、空間デザインよりのプロダクトデザインを専攻した。
造形の仕事をしていなかったら? との問いには、「営業かな」。「美容師になりたいと思ったことも」との答え。ものづくり業界では変わり種? なんだろうか。人とかかわることが好きな岡谷さんはチームを組んで作品を作ることが楽しいという。自分にはない様々な考えに触れることができるし、新人が腕をあげていくのを見ることもうれしいそうだ。
今回、はじめて手がけた「キャラクター」制作は「とても楽しい!」という。
とはいえ、着物のひだや、瞳の位置には思いのほか時間がかかり苦労したそうだ。そして、ついに、固い材質でできているとは思えないような、柔らかい布の質感や、今にもしゃべりだしそうなオイラの表情を作りあげてくれた。岡谷さんは、作品を人がどう見てくれるのか、反応が楽しみだと語る。そして、見た人たちが「よ〜し、噺家クロッチ、気に入った!」と、「3Dプリンターで出力した作品の縮小サイズが欲しい!」と思わせるような作品にしようと仕上げの手に力を込める。
「立体作品をこういう工程で制作している」ことを一般の人たちに知って欲しいという岡谷さん。ひとつの立体造形物ができあがる工程の複雑さに、オイラ、本当に驚いたよ
「いいものを作りたい」。
「自分自身で考えながら仕事をすることが大切」と、考えている岡谷さんは、いつも新しい方法にチャレンジしている。まだ扱っていない材料もあるし、やってみなければ何が得意なのかさえわからない。ジョブローテーションをしながらさまざまな技術を身につけたいと、仕事にはとても貪欲だ。その一方で、「根本的に楽しみながら仕事をしたい」から「どうしたら仕事が楽しくなるのか?」を考え、自分なりに工夫をこらしている。自分がいっぱいになるとまわりがみえなくなるので、それは避けるようにしているそうだ。
最後に自分を動物に例えると? との問いには「犬ではなく猫かな」。
なぜ?「人見知りだから」なんだそう。
「人を楽しませ、自分も楽しむ」。軽やかなこの抜け感、そう、猫だね。
【クロッチ作品を創るラッキーワイドの造形作家たち。7】
村井理恵子(むらい りえこ)さん
絵の中から今まさに飛び出そうとしているクロッチ
「飛び出す勢い! を感じて欲しい」と語る村井理恵子さん。今年入社2年目、期待の新人だ。美術系の高校で学び、大学では彫刻を専攻した。今回、「飛び出すクロッチ」の制作では、先輩にアドバイスをもらいながら、得意の粘土を使った原形に、自らが持つ塑像の技をすべて注ぎこんだ。
作品では「プロポーションでかわいらしさを表現する」ことに注力したという。オイラのボディーのデフォルメの加減が難しく、とりわけ頭部には細心の注意をはらったそうだ。うん、オイラの頭と顔の形はちょいと変わっているからね。
展覧会の来場者には「絵から飛び出している」という、平面と立体の融合の絶妙な加減を見て欲しいそうだ。この作品は、通常の立体作品とは異なり、オイラの背中、つまり後ろ側を作らない。だからこそ、表には現れない「からだ」の後ろ部分の形を鮮明にイメージしながら制作しなければならず、それが難しかったという。他には「スカーフのしわや足先も見て欲しい」そうだ。
「クロッチは後姿が魅力的ですね」と村井さん。オイラ、なんか照れちまう。「親しみやすい」ともいってくれた。ありがとう!
さて、自分を動物に例えると?
「わかりません。でも鳥が好き、特にインコが。フォルムが好きです」とあつく語る村井さんは、対象のプロポーションやフォルムにこだわりがあるらしい。「造形屋さんでなければ製造業にいっていたと思う」。とにかく「立体」を仕事にしたかった。彫刻を学んできたとはいえ、ここでの仕事は村井さんには、はじめてのことばかり。「上には上があります」。1年を経ての率直な感想だ。
「先輩からは、技術面ではもちろんのこと、仕事に対する姿勢や熱意から学ばせてもらっています」と、ゆっくり言葉を選びながら語る。
「今は、自分に渡してもらえる仕事をひとつひとつ完成度をあげられるように努力をしています」。片道2時間もかけて通勤している村井さん、がんばってね!
【別欄での解説】
「飛び出すクロッチ」を発案したのは、肉球オブジェを作った佐藤愛子さん。そして、村井さんは、岩永愛さんが担当するクロッチ時計の一部も手がけている。時計のレリーフ部分のドクダミの花と葉の粘土原形をへらで丁寧に成形した。オイラの立体作品は、作家さんたちそれぞれの得意分野をいかした共作でもあるんだね。
【クロッチ作品を創るラッキーワイドの造形作家たち。6】
岩永愛(いわなが あい)さん
木彫りの美しさ、クロッチの掛け時計
「削るたびにふわっと木が匂うんです」。ノミで削ることが大好きだという岩永愛さん。立体デザインを専攻した学生時代に、ある先生と出会い木彫をはじめた。今回、「クロッチの掛け時計」を制作中の岩永さんは、今後もずっと木彫を続けていくつもりだ。
写真提供:山田親広さん
のら猫の潔さと兄貴肌がオイラの魅力だという。作品の見どころは、「あっ、クロッチだ!」という強いインパクトと「クロッチのかわいらしさ」。人の背丈より高く設置される掛け時計に「いかに来場者の目を惹き付けるか」を考え、なんとも愉快なデザインを生み出した。作品の見どころは、ノミと彫刻刀で仕上げ彫りをする時計の装飾のレリーフだという。木目の美しさを活かした塗装にもこだわるつもりだ。
苦労したところは、今回はじめて挑戦した「キャラクター単体での削り出し」と「オイラのおにぎり型の顔」。目下、木とFRPの異素材の組み合わせでどう仕上げようかと思案中だ。
ラッキーワイドに入社してほぼ一年の岩永さん。以前は建築模型を作る仕事に携わっていた。ここでは、仕事によって毎回やることがかなり異なるという。とりわけ、作家の作品では完成度の高さを求められるために神経を使う。とはいいながら、細かい仕事が得意な岩永さんは仕事を楽しんでいる。つらいことがない。どんな仕事でもその中に楽しみを見いだしていけるタイプなのだ。
岩永さんがラッキーワイドで働いてみて、「凄い!」と思ったことがある。それは、すばらしい技術をもっているにもかかわらずおごった先輩がいないことだ。尊敬できる人が多いという。
自分を動物に例えると? との問いには、
「わたしは狼です。本能でそう感じるんです」との力強い答えが返ってきた。
幼いころに見たテレビの番組で、狼の群れの映像を見て衝撃を受けた。「ビビッときた!」のだという。その後は、膨大な数の狼の絵を描き、動物園に何度も狼に会いに通い、ひたすら「狼一筋」の人生を歩みつづけている。
「狼愛」にかけては地球上の30人の中にはいると自負している。
「狼はもちろん、動物、木、そして自然」。それらが自分の創作活動の基盤だと語る。かつて、獣医になるか美術系の仕事をめざすか迷ったという岩永さん。狼の鋭い嗅覚と本能が、自分の才能を活かせる最高の環境と仲間を見いだしたのかも。
【クロッチ作品を創るラッキーワイドの造形作家たち。4】
宿命のライバル、カラスのゴンゾの対決シーン
「獣医か競走馬の厩務員になっていましたね、この仕事をしていなければ」
そう語るのは、入社17 年目のベテラン、清水守正さん。
幼いころ、家ではオウム、犬、猫、馬などを飼っていて、保育園にもヤギやウサギがいた。そんな動物パラダイスで成長し、現在も14羽のインコ、5羽のウサギやミドリガメと共に暮らしている。こんな清水さんが手がけているのは、オイラ、クロッチと宿命のライバル、カラスのゴンゾの対決シーンだ。板塀の屋根の上でのにらみあい。その臨場感に圧倒される。いつも身近に鳥を観察しているからこんな作品が生み出せるのかな。
「クロッチの顔のおむすび型が造形的におもしろいね!」「べらんめえの言葉使いや、一見、やさぐれた雰囲気も気にいっている」という清水さん。
「一歩引いて、立ち去る」。そんなクロッチの「フーテンの寅さん」的な世界観を表現しようと、なんともなつかしい昭和の街角を出現させた。錆びついたトタン屋根と古びた板塀。このようにふだん見慣れているなんの変哲もないものを、かっこ良く見せようするとどこか作り物感がでてしまうという。そこを「いかに自然に見せるか」が技の見せどころ。木の板に見えるが、実は塀の表面は薄い発砲スチロール板。プラスチック製の透明トタンは金属風に塗装し、さらにサビ加工を施した。刷毛で何度も塗り重ねて埃まみれの風合いを表現する。驚いたことに、清水さんは参考写真など何も見ないで、頭の中のイメージだけで全てを作っているんだ。
でも、オイラの造形はそう簡単ではないという。アニメ風な完成度をつきつめると、原画の水彩画の良さをそこねてしまう。立体制作では感覚的なものがかなり要求されるのだ。
オイラとゴンゾの制作では、最初に手とヘラを使い、粘土状のパテで小さい模型を作る。その模型の写真を拡大してスチロールのブロックに貼り付け、正面と横からアウトラインをカットする。小さい模型を見ながら感覚だけをたよりに包丁で削っていくこの作業では、経験と慣れがものをいう。ここが最も神経を集中する工程だ。ある程度の形ができるまでは緊張の連続とのこと。でも、それをすぎると「この仕事をしていてよかったなあ」と感じ、その後の仕事がとても楽しくなるという。これから取りかかる着彩では、塗装スプレーと刷毛などでニュアンスをつけながら、クロッチの黒い毛とゴンゾの黒い羽根の色の差別化をしていく。
「とにかく手を動かすことが好き!作りたくて仕方がない」という清水さんは、時々、好きな仕事で遊びながらお金をいただいていると感じる。とはいえ、そこは仕事、納期も含めシビアな制限がある。お客さんに喜んでもらえることを大切にしているが、自分の満足度とお客さんの要求するものが違った時はつらいらしい。
後輩たちや新人たちには「美術学校で学んだことをそのまま仕事に活かせるのは幸せなこと。だから自分は恵まれていると思ってほしい。しんどいこともあるだろうけれど、できるだけ仕事を続けてほしいですね」。と温かいエールを送る。
さらに、長年、造形に携わってきたひとりの造形職人としてこんなアドバイスを。「デジタルは道具としてはすばらしいけれど、それがすべてではないです。ゼロから手で作ることを忘れない方がいいのかな」。そこでニッコリした清水さん、「停電しても作れるからね」。う~ん、なるほど。
「立体オタク」で粘土や彫塑が得意。「足していく作業」が好きだという清水さんが親しみを感じるのは、粘土、木、石、などの自然素材だ。自然の色に近づくものをどうやって作りだそうか?と日々、思いをめぐらし工夫を重ねている。
「でもね、自然のものにはかなわないです。猫の目やインコの羽根の色の美しさにはね……」。こんな風に言ってもらって、オイラ、ちょいと照れくさかった。
最後に「自分を動物にたとえると?」と尋ねると「セキセイインコかな」と即答した清水さん!理由は「よく動き、よくしゃべる」からだそう。職場に欠かせないムードメーカーの一面をみたよ。
いちばん目を引くクロッチの看板
1.8メートル四方の大きなキャンバスいっぱいに、オイラの顔を描いてくれたのは木下勇治さん。展覧会では、表通りに面したストライプハウスギャラリーのウインドウから真っ先に目に入る「看板」は、来場者や通行人へのアイキャッチという重要な役割を担うアイコンだ。しかも、この絵は他のアーティストが手がけるトリックアートでも一役買うからね。
作品では、「目力の強さと口もとのクロッチらしさを見てほしい」と語る木下さん、顔の輪郭線にはこだわった。人にはなつかない、のら猫の矜持がモチーフとしての魅力だという。
子どものころから絵が大好きで、マンガ家のアシスタントを務めた経験を持つ木下さんだけど、はじめて描く大きな絵の構図や色合いのバランスには苦労したという。単純なオイラの顔が、インパクトがありながらも趣き深い「肖像画」に仕上がった。アクリル絵の具で描いた絵を囲むお手製の木枠は、江戸っ子クロッチの「和」の雰囲気を出すために、自ら黒く染めあげた。
「仕事は生きがい」という木下さんは感覚を磨くために作家の個展を見に行く。仕事は常に時間との戦いで、すでに道具の発注、材料の準備段階から経験値がものをいう。先輩方の「凄い!」仕事ぶりにあこがれる木下さんは入社5年目。ひとつの物件を最初から最後までまかされるようになった。そこでは、後輩たちの指導をしながら物件を仕上げていく。チームワークを大切にしながら、将来は後輩たちにちゃんと仕事を教えられる先輩になりたいと語る。
「自分では、引っ込み思案なところがあるから親方には向いていないかも……」と思っていたが、ある時、先輩から「木下は木下らしい親方をめざせ」と言われたことを心にとめて仕事に向き合う毎日だ。
最後に、自分を動物に例えると?と尋ねてみた。
いつも白と黒の洋服を着ているので、友人からペンギンと言われる木下さんだが、「自分では猫に似ている」と言う。気ままに時間に流されずに生きる猫。静かにさりげなく、いつのまにか周囲を和やかな気で包んでいく。そんな猫だ、と感じたよ。
「見る。というより、どんどん触ってほしいです」
作品の見どころを尋ねると、こんな答えが返ってきた。佐藤愛子さんの作品は、ズバリ、「肉球」だ。しっとり吸いつくその感触は子猫の肉球そのもの。
作品では、猫好きだけでなく、さまざまな人を引きつける「やわらかな弾力」と「かわいい色」を追求した。素材選びでは苦労したが、最終的に、柔らかすぎず固すぎないラテックス(ゴム手袋の素材)を使用した。
オイラが驚いたのは、佐藤さんが作品に使用する材料を独自に作りあげていたことだ。まず、透明の液状のラテックスに色を混ぜ、肉球のピンク色を調合する。そのピンク色の液をエアガンで何度も吹きつけて作りあげた薄いシートが肉球の材料となったのだ。今、巷には無数の材料や素材がある。でも、イメージにあうものがない時には、妥協せずにオリジナルの材料を自ら作る努力と手間を惜しまない。今回の作品で、はじめて自分ひとりで素材も形も考えた。先輩たちには「凄い!」と感心することばかりだというが、すでに佐藤さんの中にも「職人魂」が確実に育まれていると感じたよ。
幼い頃から「こねくりまわすこと」が好きだった佐藤さんは高校、大学とも彫刻を専攻した根っからの彫刻女子だ。入社当時は、一定の時間でこなせる仕事量が全くわからなかった。入社3年目の今、「自分の能力がわかってきたことがつらい」。「時間に追われ、あせる気持ちが仕事に反映することもつらい」と語る。だからこそ、自分が担当したパーツが完成した時、美術館やテーマパークに作品が展示されたのを見た時、喜びはひとしおだ。
入社まもなく、エアガンで塗装の訓練をした。使い方の加減を先輩方に質問すると「慣れてね」との答え。2年目にして先輩の言葉に納得する。「どんどん失敗して慣れるしかない」と。そして3年目、エアガンを使って独自の作品を完成させた。
最後に、自分を動物に例えると? と尋ねたら、「猫です」「飽きっぽくて気まぐれだから」。と言いつつも、「いったん仕事となれば集中して向き合います」と佐藤さん。狩りの時には全身全霊で集中する猫!だね。