長嶺ヤス子さんの絵本「消えなかったシャボン玉」
2015年8月30日

【立っているだけでフラメンコ ★ 長嶺ヤス子さんの絵本】
世界の大人たちの争いに、いつも翻弄されるのは子どもたち。
平凡な家庭内の争い、肌の色、宗教の違いによる争い、いつも翻弄されるのは子どもたち。
対立を超えた世界を絵本で表現した
長嶺ヤス子さんの作品「消えなかったシャボン玉」です。
(出版元:未知谷 定価:2000円+税 ISBN978-4-89642-286-3)
(イアン)
以下、クロッチの仲間、HATANAKAさんによるブログを転載します。


長嶺さんは、2000年の半ばに、絵の連作を描かれ、同時に、人生観を表した、絵本を、未知谷という出版社から出版されています。始めてその本に出会ったときは、我ながら、少し人生も重なり、涙ぐんでしまいました。題名は、割れなかったシャボン玉、です。
この作品は、何も罪がない子供が親の勝手で人生が翻弄され、苦しみ、そして、幸せをつかみながらも、また、崩れ、でも、最後の拠り所を見つけていくという物語です。大人の絵本ですね。
少しあらすじを紹介します。

それは平凡な夫婦でした。
どこにでもある幸せな家庭でした。
夫は黒人、妻は白人。
そして可愛いベビーは小麦色の肌をしていました。
地球上のどこにでもいる普通の夫婦でした。
しかし、幸せは永くは続きません。男が浮気をしました。
二人の仲はだんだん悪くなりました。けんかも絶えません。不思議なことに、小麦色で可愛かった男の子の肌は、次第に、ぶち、になっていきました。
夫婦の心は離ればなれ。女の外出も多くなりました。
男の子の肌は水玉模様になりました。
そして-
とうとう二人が離婚してしまった時、
男の子の肌は左右まっ二つ、白と黒に別れてしまいました。
可哀想な男の子の名は、マギーといいました。
両親に捨てられたマギーは、サーカスの見世物にされました。宇宙人だ、と、子供たちは気味悪がります。ピエロが売るシャボン玉を見て、シャボン玉はなぜ消えるんだろう?、と、マギーはいつも思ってました。
やがて大きくなったマギーは・・・と、物語は続きます。
マギーは、いろんな人生を経験します。その経験は、いったいなんだっんだろう。深くて、可愛くて、大胆なエッチな絵もあり、長嶺さんワールドがそこにありました。
あまり、出回っていない絵本ですが、いずれ、貴重な一冊となることでしょう。
(HATANAKA)