クロッチコレクション

コミュニティ音楽劇「泣いた赤鬼」

みんなが知ってる物語を題材に友だちのことを考えよう!
コミュニティ音楽劇「泣いた赤鬼」
コミュニティ音楽劇「泣いた赤鬼」  クロッチは音楽好きだ。でも、「ねこふんじゃった」って曲は、ないだろといつもふと思い出すのだ。「♪ねこふんじゃった、ねこふんじゃった♪ って、何回もくり返される。何が楽しいんだ! 踏まれた猫の身にもなってみてほしいよ」と。

 とはいえ、そのこと自体はクロッチの大きな悩みではなかった。クロッチは踏んだり踏まれたりなんてしない。イジメがなくなるにはどうしたらいいか、いろんな人たちがもっと仲良くできないだろうかーが、もっぱらの悩みだったのだ。

 クロッチがそんなことを考えながらふらふら散歩をしていたら、子どもたちのかわいらしい歌声が聞こえてきた。音楽劇「泣いた赤鬼」の稽古場の横を通ったのだ。「泣いた赤鬼」は児童文学作家・浜田広介の名作だ。友だち赤鬼のために、自らが悪者になって去っていく青鬼……。

 この音楽劇を観て、クロッチは「オイラは黒鬼だな……」とつぶやきながらも、この音楽劇には、自分とは違う他者との壁を乗り越えられる魔法があるように感じたのだ。

この音楽劇の主催者である「特定非営利活動法人オペラ彩(さい)」の代表である和田タカ子さんは、「この音楽劇のあと、子どもたちの目がとてもキラキラして、やさしい顔になっているの。私はね、この感動を多くの子どもたちにもっと体験してほしいの」

 と熱く語った。

 そのとき、クロッチの胸にも熱いものがこみ上げてきた。自分にもできることがあると……。「オイラも、オペラ彩さんとがんばりたい」ーそして子どもたちのやさしい心を育てるために、新しい挑戦がはじまるのである。

コミュニティ音楽劇「泣いた赤鬼」 原作◎浜田広介 作曲・台本◎松井和彦 演出◎直井研二 企画・制作◎オペラ彩

コミュニティ音楽劇「泣いた赤鬼」
「泣いた赤鬼」あらすじ
コミュニティ音楽劇「泣いた赤鬼」  ある山の中に心のやさしい赤鬼が住んでいました。赤鬼はふもとの村人たちと仲良くなりたいと思っていたのですが、怖がってだれも相手にしてくれません。がっかりしている赤鬼のところへ青鬼がやってきました。青鬼は友達の願いをかなえてやろうと、一芝居打つことにします。「ボクが大暴れしているところで君がかけつけて村人を助ければ、きっと君を見直して、いい鬼だと思うに違いない」。赤鬼はウソでも友達をいじめるのは気が進みませんでしたが、強い説得に心を決め、青鬼の言うとおりにします。

 すっかり村人と仲良しになった赤鬼は、ある日、ふと青鬼のことが気になります。青鬼の家を訪ねると、そこには赤鬼に宛てた青鬼からの手紙が置いてありました。

アカオニクン ニンゲンタチトハ 
ドコマデモ  タノシク 
クラシテ イッテクダサイ。
(中略)
ボクハ タビニデマス。 サヨウナラ。
ドコマデモ キミノ トモダチ
     
アオオニ